立命館大学デザイン・アート学部と立命館大学大学院デザイン・アート学研究科、デザイン会社の株式会社コンセントは、学術成果を社会に開く出版プロジェクト「RDA叢書」を創刊する。その第1号として、同学部編著『デザイン学の再構築へ』を2026年4月4日に発売する。判型はA5、全256ページで、定価は税込2,970円。

RDA叢書は、本づくりと出版活動を通じて、デザイン・アート分野における新時代の知と感性を実社会へと伝播させることを目的とする。編集委員には、立命館大学デザイン・アート学部副学部長の八重樫文氏、同学部教授の上平崇仁氏、そしてコンセントのDesign Leadership部門に所属する吉田知哉氏が名を連ねる。大学とデザイン実務の現場が協働する点に、この叢書の特徴がある。

創刊号『デザイン学の再構築へ』は、2026年4月に新設された立命館大学デザイン・アート学部の教員22人による11の対話セッションを収録した書籍である。現代アート、建築、サービスデザイン、伝統文化、考古学など、専門領域の異なる研究者やデザイナー、アーティストが対話形式で議論を交わし、デザインと社会の関係を多角的に掘り下げている。

本書で扱われるテーマは、アートとAIの協働、SNSアルゴリズムが人間行動に及ぼす影響、伝統文化の継承とコミュニティの活性化、身体芸術が示す身体の可能性、さらには縄文時代の儀礼と現代社会の文化形成に至るまで多岐にわたる。異領域の専門性を意図的に交錯させる対話の組み合わせとテーマ設定は上平氏が担い、互いの共通点を見出しながら新たな視座を立ち上げる構成となっている。
構成・編集はコンセントの吉田知哉氏と鈴木奈都子氏が手がけた。
本書が提示するデザイン学は、教育機関の内部にとどまる理論ではなく、社会をいかにつなぎ、統べ、更新していくかを問う実践的な学問である。行間に埋め込まれた問いや、これから生まれるコミュニティへの示唆を読み解くことで、読者自身の思考の枠組みが静かに更新されていく構成となっている。

対話形式を採用した背景について、序文を執筆した八重樫氏は、デザインを巡る現状の課題として、専門性やアート視点の喪失、定義の曖昧さ、日本の歴史や文化を踏まえた教育の不在、デジタルネイティブ時代への対応不足といった点を挙げる。
そのうえで、本書を「言葉にすると消えてしまいそうなものをつなぎとめておくための場所」と位置づけ、二人の対話の中で生じるずれや誤解こそが、世界や他者、自分自身への入口になると述べている。