築130年の古民家が、最新テクノロジーを学ぶ教室へと姿を変えた。大阪を拠点とする株式会社Meta Heroesが運営するDX教育スペース「Hero Egg」の出張体験会が、京都府南丹市美山町にある「美山ヴィレッジ 柿迫邸・ジョイントセンター」で開催された。参加したのは、地元の小学生から中学生まで13人の子どもたち。ゲーム制作を通じて、田舎ならではの集中力と好奇心を生かし、約2時間半にわたって創造力を発揮した。

体験会で子どもたちが挑戦したのは、アスレチック型のゲーム制作。まず、同社のプロクリエイターが基本的な操作方法を教え、その後は各自が自由にステージを設計した。初めて触れるゲーム制作にもかかわらず、子どもたちは短時間で個性豊かな作品を次々と完成させ、参加者の創造力の高さが際立った。

制作されたゲームは、Meta Heroesのクリエイターと美山ヴィレッジの村長によって審査され、「クリエイティブ力」などの観点から評価された。中でも特に優れた作品には「村長賞」が贈られ、子どもたちの努力と成果が認められる場面もあった。

体験を終えた子どもたちからは、「ゲーム作るのって可能性しかない」「今から頑張ればお兄ちゃんみたいになれるかな」「ずっとやっていたい」といった声が上がり、テクノロジーによる学びの魅力が地域に新たな希望をもたらしている様子が伺えた。

この体験会は、美山町で田舎暮らし体験の推進を行う「美山ヴィレッジ」との協力によって実現した。村長のたかお氏は「田舎にいることで情報や選択肢が限られる現状を変えたい」と語り、「こうした取り組みを続けることで、地方でも都市と変わらない教育環境を整えることができる」と意欲を見せた。さらに、「ゲーム制作は子どもたちにとって身近な遊びでもあるため、自然に興味を持って取り組める」と、今回の体験の意義を強調した。

Meta Heroesは今後も、地域のキーパーソンと連携しながら、子どもたちがテクノロジーを通じて自己表現し、学びの喜びを感じられる機会を全国各地に届ける方針だ。都市部だけでなく、地方にもテクノロジーの光を届ける取り組みは、過疎化や人口流出といった社会課題への一つの答えとなるかもしれない。