株式会社スパイスマートは、2024年から2025年にかけてリリースされたIP(知的財産)原作のカジュアルスマートフォンゲームに関するプロモーション施策の動向をまとめた調査レポートを公開した。対象は調査期間中に一度でもスマートフォン向けゲームのセールスランキングで200位以内に入ったタイトルで、リリース前後のランキング推移やキャンペーン施策などを分析している。

近年のIP原作カジュアルゲームでは、RPGジャンルが依然として多いものの、3マッチパズルやテーブルゲームなど、広告収益を取り入れたカジュアルゲームが目立ち始めている。特に2024年以降に登場したIP原作タイトルでは、キャラクター育成の要素を取り入れた3マッチパズル形式の作品が増加傾向にある。

今回の調査では、代表的な4タイトルの中から注目された2タイトルのプロモーション施策が紹介された。まず、2025年4月2日にリリースされた『SAKAMOTO DAYS デンジャラスパズル』は、テレビアニメ『SAKAMOTO DAYS』の最終回直後に登場し、翌日にはアプリストアのフリーランキングで1位を獲得。リリース後1週間はトップ10圏内を維持し、セールスランキングでも50位前後を推移した。プロモーションはアニメの盛り上がりに合わせてジャンプ誌面やジャンプフェスタでの発表、テレビCM、キャストのサイン色紙やAmazonギフト券のプレゼント企画などが展開され、SNSでの発信は継続的ながらも拡散よりファンの関心維持に重きを置いた内容となっていた。

また、2024年9月にアニメ『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の最終回直後にリリースされた『パズルパーティ!』も同様の手法を採用。テレビCMや原作小説・キャストサインのプレゼントキャンペーンで関心を集め、公式SNSでは衣装アンケートや声優のサインプレゼントなど、ファンを巻き込んだ短期型の企画を実施した。事前登録キャンペーンではオリジナルイラストの配布など、原作ファンに向けた訴求が中心となった。

これらの事例から、近年のIP原作カジュアルゲームにおいては、リリース時期をアニメ放送と連動させ、数カ月間の短期で集中したプロモーションを展開する傾向が強まっていることが読み取れる。大規模なSNS施策を重視する従来型とは異なり、作品ファンの心理的ピークに合わせた施策が主流となりつつある。

スパイスマートでは今後も、IPホルダーやゲームパブリッシャーに向けて、IPゲームのマーケティング戦略に関する定量・定性両面の分析を進め、ビジネスに活用可能なレポートの提供を継続していく方針だ。