デジタル広告の効果検証と最適化を手がけるDoubleVerify(NYSE: DV)は2025年6月11日、業界初となる統合型AIソリューション「DV Authentic AdVantage」を発表した。この新サービスは、メディア品質の維持と広告パフォーマンスの最大化を両立させ、広告主にとって長年の課題だった「リーチと品質のトレードオフ」を解消するものだ。
DV Authentic AdVantageは、DoubleVerifyが提供する信頼性の高いメディア品質管理機能と、同社が買収したScibidsのAI最適化技術を統合したもので、まずは独自の動画プラットフォームで提供される。広告主は、ブランドを損なうリスクを避けながら、パフォーマンスを高める広告配信が可能となる。
DoubleVerifyの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザゴルスキー氏は、「従来のデジタル広告では、ブランドセーフティを維持するか、リーチを広げるかという二択を迫られていた。新たなソリューションにより、両方を同時に実現できるようになる」と述べ、これが業界のパラダイムシフトになると強調した。
この新サービスは、ブランドにとって以下のような多角的な利点を提供する。まず、ブランドセーフで適切なコンテンツや設定に広告を配信することでブランド資産を守る。次に、AIによる自動入札調整と予算配分を通じて、キャンペーンパフォーマンスを最大化する。そして、詳細なインサイトとレポートを可能にする分析プラットフォーム「DVPinnacle®」を通じて、メディアの品質を証明し、成果を可視化する。
DV Authentic AdVantageは、DoubleVerifyが新たに構築した広告プラットフォーム「DV Media AdVantage Platform(DV MAP)」の中核をなす。DV MAPは「Verify(検証)」「Optimize(最適化)」「Prove(証明)」という3つの柱で構成されており、各コンポーネントが連携することで、広告主があらゆるメディア環境において成果を最大化できる仕組みとなっている。
検証では、アドフラウドやビューアビリティ、ブランドスータビリティといったメディア品質の確認により、無駄な広告投資を排除する。最適化では、DV Scibids AIによるリアルタイムの入札最適化によってコスト効率を高める。そして成果の証明では、買収したRockerboxのテクノロジーを活用し、マルチタッチアトリビューション(MTA)やマーケティングミックスモデリング(MMM)を通じて、広告効果を明確にする。
DoubleVerifyは2023年にScibidsを、2025年初頭にはRockerboxを買収し、これらの技術を自社サービスに統合することで、広告主が信頼性の高いデータと高度なAI技術に基づいた広告配信・分析を実現できるようにした。これにより、従来の「検証専門企業」から、広告のパフォーマンス全体を支援するフルスペクトラムのプラットフォームへと進化を遂げている。
今回の発表は、広告業界における透明性と効率性、さらには説明責任への関心が高まるなか、DoubleVerifyがその最前線に立っていることを示すものだ。広告主が投じた広告費の価値を証明し、デジタル広告の成果を最大化するための強力な武器として、DV Authentic AdVantageの存在感は今後さらに高まることが予想される。