月桂冠株式会社は、京都市伏見区の通常非公開施設「月桂冠新家(大倉家旧宅)」において、俳優で写真家の安藤政信氏による写真展「憂鬱な楽園」を開催している。会期は2026年4月18日から5月17日まで。世界的な写真祭「KYOTOGRAPHIE」のサテライトイベントとして、歴史的建造物と現代アートが融合する空間を創出している。

会場となる月桂冠新家は、大正末期から昭和初期に建てられた築100年の和洋折衷建築である。名庭師として知られる八代目小川治兵衛が手掛け、2025年に再作庭された主庭を有しており、普段は一般に公開されていない。本展では、この静謐な空間に安藤氏が切り取った人物や波、花などの作品を展示する。

安藤氏は1996年の俳優デビュー以来、国内外で活躍する傍ら、写真家としても精力的に活動を展開してきた。展示作品の根底には、俳優として多様な人生を擬似体験してきた安藤氏独自の死生観が反映されている。水や光と影といったモチーフを通じて表現される「生と死」の両義性は、会場に差し込む自然光や隣接する大倉記念館の湧き水と共鳴し、来場者に深い思索を促す仕組みとなっている。

また、本展の開催に合わせて安藤氏が月桂冠の酒造現場を取材した撮り下ろし作品も制作された。米や水、発酵するモロミ、働く人々の姿を詩的に捉えた新作は、月桂冠大倉記念館のエントランスに掲示されている。

同社は4月23日より、来場者の体験価値向上を目的に、安藤氏の作品をあしらった「限定デザインチケット」の販売を開始した。デザインは3種類用意されており、来場者は好みの1枚を選択できる。チケットは会場横の月桂冠大倉記念館売店で販売され、入場料は500円である。開館時間は11時から16時まで、5月6日は休館となる。