アートとテクノロジー分野の専門家を育てる新たな教育プログラム「藝術と技術の対話(DAT)」が始動した。主催は東京都台東区の株式会社イッカクで、札幌国際芸術祭2027と米国・ブルックリン実験アート財団(BEAF)をパートナーに迎え、札幌とニューヨークの双方で展覧会を開催する。これらの展覧会は、参加者にとって実地研修の場となる予定である。
DATは、日本の文化芸術領域におけるアート&テクノロジー分野の継続的な発展を目指すプロジェクトである。講座や研究、展覧会やシンポジウムなどを通じて批評と対話を促し、創造的思考と実践力を備えた人材を育成する。プロジェクトの目的は「コンセプト構築」と「二つの展覧会の実現」。作品や企画を言語化する力、対話と知的刺激を生み出す展覧会を構想する力を養うことが狙いである。
2026年2月22日には、育成対象者「DATプロジェクトメンバー」の募集説明会がオンラインで開催される。登壇者はメディアアーティストの藤幡正樹氏と、イッカク代表取締役の廣田ふみ氏。説明会では募集要項や選考方法、今後の活動スケジュールなどが紹介される予定だ。
DATの活動はすでに始まっており、2025年11月からは第1弾となる講座シリーズ「アート&テクノロジーの概念構築」(全7回)が開講中である。メディア、美術、哲学などを横断する内容で、すでに230名以上が参加しているという。講座はオンラインと会場の両方で受講が可能で、若い世代の参加も促している。
札幌国際芸術祭2027では、モエレ沼公園を会場にDAT連携展が計画されている。一方のBEAFは2024年にニューヨークで設立された非営利団体で、アートとテクノロジーによる文化交流を重視している。DATはこの二拠点を舞台に、国際的な視野を持つアート人材の育成に乗り出す構えである。
藤幡氏は「藝術と技術、西と東の相対化を探求することが本プロジェクトの根幹である」と語る。近年の生成AIをはじめとする急速な技術進化に触れ、「人間の知性の領域に入り込む技術の時代だからこそ、藝術が最後の砦になる」と強調した。
イッカクは2008年創業のクリエイティブプロダクションで、文化芸術分野における企画や運営を幅広く手がけてきた。同社が主導するDATプロジェクトは、国内外の専門機関を結び、アートとテクノロジーの融合による新たな教育モデルの構築を目指している。



