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没入型XR作品『Nox』が、オランダで来年開催されるロッテルダム国際映画祭(IFFR)の新部門「Lightroom」に公式選出された。初年度となる同部門には世界から9作品が選ばれており、『Nox』は「Work-in-Progress」として発表される。

「Lightroom」は、XRやVRなどの没入型表現を対象にIFFRが2026年から設ける新しい産業プラットフォームである。これまで別部門で扱われてきた企画を統合し、国際的な共同制作や展示を促進する場として設計された。会期中には、XRプロデューサーや研究者らが集うシンポジウム「Reality Check」も併催される。

『Nox』を手がけたのは18歳のメディアアーティスト、ナカダリオ。自身のC-PTSD体験をもとに、トラウマや不条理を題材とする内省的な体験型作品である。観客は少女の内面世界に没入し、記憶と感情の揺らぎを体感する仕組みとなっている。制作は経済産業省の支援事業「創風」を受けて進められており、完成版は2026年春の国内展示を予定している。

ナカダ氏は「世界的映画祭での公式選出を光栄に思う。自身の体験をもとにしたテーマと改めて向き合い、より深い体験を目指して完成度を高めたい」とコメントした。制作過程では腱鞘炎や体調不良も経験したが、「困難の中で作品の核が見えてきた」と語る。

有識者の間でも期待は高い。デジタルハリウッド大学の藤井直敬教授は「闇を抱えたままでも前に進める力を示す作品」と評価した。メディアアーティストの落合陽一氏も「成長を見守ってきた一人として誇らしい」と祝意を寄せた。XRプロデューサーの待場勝利氏は「日本の才能が世界に認められた」と称賛する。

ロッテルダム国際映画祭は1972年の創設以来、新人監督や独立系作品を重視し、アジア映画にも積極的に光を当ててきた。『Nox』の選出は、日本の若きXR世代が国際舞台で存在感を高める象徴的な一歩となりそうだ。

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