愛媛県宇和島市がアートで染まる1か月が始まる。2025年10月25日から11月24日まで開催される「宇和島フォトフェスティバル2025 UWAJIMA SIGHTS」は、初開催となるアートフォトの祭典である。テーマは「Islands in Motion 動き出す故郷」。入り組んだ海岸線や点在する集落を持つ宇和島の風景を「動く島々」と見立て、地域が持つ潜在的な力と変化を写真を通じて伝えることを目的としている。
会場は宇和島城や市中心部一帯。国内外から森山大道や本城直季、イナ・ジャン、安藤瑠美など著名な写真家が参加し、新作を含む多彩な作品がまちを彩る。美しい自然と人々の営みが交差し、芸術と生活が融合する瞬間が訪れる。
会期中は展示だけでなく、アーティストと触れ合えるイベントも多数予定されている。25日にはエキシビジョンディレクター太田睦子による展示作品ガイドツアーが行われる。さらに、期間限定でオープンするポップアップ書店「Phonton Observation Club」では、小学生から高校生までの子どもに写真集を贈る企画「はじめての写真集」も実施される。
濱田祐史らが講師を務めるシルクスクリーン体験や、小池健輔による「新大陸」をテーマにしたアート制作ワークショップも開催され、市民が創作に関わる機会が多く設けられている。11月にはTOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHの小山泰介が調査成果を発表する報告会も予定され、写真家の視点から都市を再発見する試みが続く。
市内では、市主催の公式イベント「UWAJIMA SIGHTS and(US and)」と、市民団体などによる連携催事「UWAJIMA SIGHTS more(US more)」も展開される。「百面牛鬼」づくりや古典技法サイアノタイプを体験する企画、「宇和島城夜間開城」など、写真と地域文化を結びつけた多様な催しが予定されている。
そのほか、写真家・石川直樹や宮脇慎太郎によるトークセッション、仙台のヒップホップグループGAGLEのライブ、伝統の闘牛大会、宇和津彦神社の秋祭りなども並行して行われ、まちはまるで巨大な美術館のように生まれ変わる。
主催は宇和島ARTプロジェクト。公式サイトでは詳細スケジュールや参加申込方法も公開されている。新旧の文化が交わり、写真を通して「動き出す故郷」を体感する一か月となりそうだ。



