新潟で3万人以上を動員した話題の展覧会「ホラーにふれる展-映画美術の世界-」が、東京ソラマチ5階スペース634で開幕した。主催はホラーにふれる展実行委員会、企画・制作は松竹お化け屋本舗による。初日となった10月11日には多くの観客が訪れ、会場は熱気に包まれた。
本展は、日本のホラー映画の美術に焦点をあて、来場者が「見る」「撮る」「ふれる」という三つの体験を通して楽しめる構成となっている。昭和の雰囲気が漂う会場では、首のない地蔵菩薩や錆びついた木塀、苔むした地面など、リアルな造形が来場者の想像を刺激する。廃棄所や掲示板に貼られた「この人を探しています」の紙には、不穏な気配が漂う。展示物の横には素材や制作背景を解説したキャプションもあり、細部までつくり込まれた美術表現の魅力を知ることができる。
全作品は写真・動画撮影が可能で、訪れた人々は映画のワンシーンに入ったかのような記念撮影を楽しんでいた。とくに注目を集めた新展示「マンホールに棲むもの」では、日常に潜む恐怖をモチーフにした仕掛けが話題となった。来場者は展示の裏側から自分の手を伸ばして映像に映り込ませることができ、ここでしか味わえない一枚を撮影していた。
展示物のほとんどに「触ってOK」という特徴がある。さびた鉄の骨組みや岩、マンホールなど、見た目とは異なる軽さや質感に驚く声があがる。映画美術の裏側にある職人技や素材への工夫を肌で感じ取れる内容だ。
さらに「美術ノート」コーナーでは、美術監督の過去作品や制作過程を一望できる資料が並ぶ。お化け屋敷や映像作品のセット写真、コンセプト画など、ホラー美術の世界をより深く知ることができるエリアとなっている。
来場者からは「CGよりも迫力がある」「ホラーが苦手でも美術として楽しめる」といった感想が寄せられた。映画の裏で支える美術の精密な技術と、昭和の情景と不穏な空気が織りなす空間が高く評価されている。
展覧会は11月9日まで開催され、営業時間は11時から21時まで(最終入場は終了30分前)。入場料は大人2400円、高校生以下1900円で、3歳以下は無料。チケットは各種プレイガイドおよび会場で購入可能だ。芸術の秋、ホラー映画の美術に触れる貴重な体験が東京で楽しめる。



