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漫画家しりあがり寿の個展「加我威異地獄(カワイイ地獄)」が、2025年10月4日から19日まで東京・南青山のYUGEN Galleryで開催される。会場には大判の紙に描かれた鬼や妖怪のインスタレーションをはじめ、約30点の墨絵や板絵が展示され、観客を独自の「カワイイ」地獄へと誘う。入場は無料で、期間中は休みなく開館する。

しりあがり寿は『真夜中の弥次さん喜多さん』や『地球防衛家のヒトビト』などの代表作で知られ、2011年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した。映像や現代アートでも活動を広げ、2014年には紫綬褒章を受章している。40年以上にわたり多様な表現で社会や人間の本質に迫ってきた彼が今回取り組むテーマは「地獄」である。

本展の特徴は、ただ恐ろしい地獄ではなく「ゆるさ」を交えた表現にある。安心や癒しを与える「カワイイ」が、社会課題を覆い隠し、不安を先送りにしてしまう様子を地獄と捉える視点はユーモラスでありながら鋭い。観客は、心地よさの次の瞬間に絶望がのぞく独自の世界を味わうことになる。

会期中の10月11日にはスペシャルイベントも行われる。前半は真打昇進が決まった落語家・立川寸志による落語、後半はしりあがりとのトークショーが予定されており、美術と演芸が融合した一夜になる見込みである。

YUGEN Galleryは2022年に設立された現代アート専門のギャラリーで、日本の美的概念「幽玄」に由来する名を持つ。東京と福岡を拠点に多様なアーティストを紹介しており、国内外へアートの発信を続けている。

今回の展示は、漫画表現を超え、墨絵の「にじみ」や「余白」によって構築される新たな“あの世”の提案ともいえる。観客はしりあがり寿ならではのユーモアとペーソスを通じて、これまで知らなかった地獄の姿に触れることになる。

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