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グラフィック社は、書籍『デザインの入口と出口 デザインの設計と実装をめぐるダイアローグ』を2025年9月に発売した。本書は、デザインの加工技術やビジネス論ではなく、現代の情報環境において本当に必要とされる態度や視点を探ることを目的とした対話集である。

編著者は、漫画やゲームといったコンテンツ分野で注目を集めるデザイナーの有馬トモユキ。有馬氏が、グラフィック、プロダクト、インタラクティブデザイン、イラスト、小説、研究など多様な領域で表現活動を行う15名のクリエイターと対話を重ねることで、現代におけるデザインの基盤や実践のかたちを浮き彫りにしている。

参加するクリエイターには、三澤遥、檜垣万里子、柴田文江、樋口歩、山本晃士ロバート、UDON、北千住デザイン、木戸馨一、長嶋りかこ、上西祐理、ティナ・トゥーリ、吉田勝信、渡邊恵太、樋口恭介、米山舞といった、多分野で活躍する人物が名を連ねている。それぞれが制作のプロセスや感覚を語り合い、デザインに必要な思考の幅を提示している点が本書の大きな特徴である。

章立ては「コミュニケーションと制作」「感性とインタラクション」「グラフィックとリアリティ」「認識とイマジネーション」の四部構成となっており、各分野の視点から対話が展開されている。たとえば「企画と実装の距離」や「観察と出力」といった具体的なテーマをもとに、実践的な知見と哲学的な洞察が交差している。

有馬氏は1985年生まれ。コンピューティングやタイポグラフィ、物語を軸に領域横断的なデザイン活動を行い、武蔵野美術大学非常勤講師やZEN大学客員教授を務める。2025年には日本デザインセンター内に「有馬デザイン研究室」を設立した。著書に『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』(星海社)がある。

本書は、デザインに関わる専門家はもちろん、表現や創作に携わる幅広い読者に向け、今の時代に求められるデザインの姿勢を考えるための手がかりを提示する一冊となっている。

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