2025年8月30日から9月12日までの期間、大阪・関西万博の英国パビリオンにおいて、英ロンドンの老舗ブランド「リバティ」による特別展「I Am. We Are. Liberty.」が開催される。創業150周年を記念する本展では、芸術・文化・デザインの交差点に立ち続けてきたリバティの歴史と創造性、そして日本との深い結びつきが紹介される。
展示では、1800年代から現代に至るまでの希少なアートワークやテキスタイル、パターンブックなど、300点以上に及ぶアーカイブ資料が公開される。リバティがいかにして世界のデザインに影響を与えてきたか、その革新性と先見性を示す内容となっている。キュレーションを手がけたのは、美術史家エスター・コーエンであり、彼女の視点からリバティの美学と文化的役割が浮き彫りにされる。
リバティと日本の関係は古く、創業者アーサー・ラセンビィ・リバティと妻エマが1889年に京都や東京などを訪れた旅が契機となった。当時英国ではジャポニスムが隆盛を極めており、リバティ夫妻の日本滞在はその後のデザイン哲学に大きな影響を与えた。展示では、訪日中に影響を受けた初期のテキスタイル作品や、エマが記録した写真入りの旅行記などの資料も紹介される。
日本は現在、リバティにとって世界第2位の市場であり、1980年代には日本法人が設立された。国内には日本市場向けのデザインスタジオも存在し、皆川明とのコラボレーションや、日本の植物図鑑から着想を得た繊細な花柄プリント、キャラクターとのコラボ作品などが展開されてきた。
今回の展示に際し、リバティのマネージングディレクター、アンドレア・ペトーキは、日本の職人技術と美意識が創業以来リバティの創造性の根源であり、万博でその関係を再び紹介できることは光栄だと語った。また、大阪・関西万博英国総代表のキャロリン・デイビッドソン氏は、リバティを英国の創造性と文化的影響力を象徴する存在と位置づけ、本展が未来への革新を促すものになると強調した。
創業以来、リバティはビートルズやデヴィッド・ボウイといったアーティストから学生や若手デザイナー、そしてサステナブルな素材開発まで、多彩な分野との協働を通じて進化を続けてきた。文化と商業が交差するこの展示では、同ブランドのクラフトマンシップと職人たちの技術、そして世界中の創造者とのつながりが再確認される。
なお、英国パビリオンでは展覧会の開催に合わせ、リバティプリントのスカーフや、京都の老舗ちりめん製造会社・丸仙とのコラボによる限定風呂敷も販売される予定である。
展示は大阪・夢洲にある「いのちを守るゾーン」内の英国パビリオンで、午前10時から午後7時まで開館(イベントにより変更あり)。詳細は英国パビリオンの公式ウェブサイトで確認できる。



