東京都府中市にある文化施設「府中の森芸術劇場」が、2025年4月にリニューアルオープンした。これに合わせて、総合学院テクノスカレッジの学生がデザインしたバナーフラッグが施設周辺29か所に掲出され、劇場の新たなスタートに華を添えている。

今回のバナーフラッグの制作は、同学院の東京工学院専門学校デザイン科の学生による学修課題の一環として行われた。学生たちは劇場の“ブランドデザイン”として複数の作品を自主提案し、その中から2種類のデザインが正式に採用された。これらのデザインは、劇場が立地する府中の森公園や京王線東府中駅と施設を結ぶ動線上の29か所に掲出され、訪れる人々を温かく迎えている。

選ばれたデザインのひとつは、稲葉流音さん(当時デザイン科2年)が手がけたもので、「心の響きが、ここにはある。」というコピーとともに、3つの個性的なホールから広がる芸術文化の躍動感を視覚的に表現している。もうひとつは鴨下美奈実さん(同上)の作品で、「このまちから 響かせる」という言葉に、流麗な音楽や創造性のイメージが込められている。また、三上綾乃さん(現デザイン科2年)が最終調整を担当し、完成度の高い仕上がりとなった。

このプロジェクトには、同校特別講師である加藤淳氏が企画・デザイン監修として関わり、学生たちが地域や社会の課題にデザインの視点からアプローチする機会を提供した。加藤氏は「若いクリエイターの作品が劇場のリニューアルに採用されたことに感謝している」とコメントし、今回の取り組みが学生にとって貴重な実社会との接点となったことを強調した。

総合学院テクノスカレッジは、東京工学院専門学校と東京エアトラベル・ホテル専門学校を併設する教育機関で、エンタメや観光、工学など幅広い分野に対応した30学科82コースを擁する。学生は専門分野に加え、学科の垣根を越えた協働や、海外提携校との交流などを通じて多角的な学びを実現しており、今回のような地域との連携もその一環といえる。

今回のバナーフラッグ掲出は、地域文化の象徴である劇場と、未来のクリエイターを育成する教育機関が協力して新たな表現を生み出した好例となった。若い感性が街の風景に溶け込むことで、芸術と地域の結びつきがより一層強まることが期待される。