神戸市須磨区に、本格的な防音室を備えたシェアハウス「Quintet神戸」が新たにオープンした。運営は、神戸市や明石市で国際交流型のシェアハウスを展開してきた株式会社マチアケが手がける。同社はこれまでに44か国以上の入居者を受け入れてきた実績がある。
この新しいシェアハウスの大きな特徴は、レコーディングスタジオ並みの遮音性能を持つ防音室の存在である。施工を担当したのは、名古屋市に本社を構える株式会社KOTOBUKIで、遮音性能は平均でD値80dB前後を確保。吸音性能も高く、演奏時のストレスを最小限に抑える設計となっている。
都市部における音に関するトラブルは依然として多く、2024年にURUHOMEが行った調査によると、近隣トラブルの中で最も多いのが騒音に関するものであった。音に対する感じ方は人によって異なるため、小さな音でもトラブルの原因となることがある。こうした背景から、防音室付きの居住環境は、音を扱う活動を行う人々にとって大きな利点となる。
現在、動画配信市場は拡大を続けており、総務省の情報通信白書によると、2019年から2022年にかけて1.8倍に成長。2024年には動画配信サービス全体の国内市場規模が5,930億円に達したと推計されている。ライブ配信アプリも成長を続け、2023年度の市場規模は720億円、前年から112.5%の増加を記録した。こうした動向は、法人だけでなく個人のクリエイターによる活動の増加を物語っている。
「Quintet神戸」は、演奏者や音楽家に限らず、動画制作や配信を行うクリエイター、また音に関わる活動を志す若者たちにとって、住まいと制作環境を兼ね備えた理想的な空間だ。コストを抑えながら創作に没頭できることに加え、シェアハウスという環境は、他の入居者との交流や技術の共有、キャリアの刺激にもつながる。孤独を感じやすいクリエイティブな活動において、同じ志を持つ仲間とのつながりは大きな支えとなる。
神戸は、日本で初めてプロのジャズバンドが演奏された「日本ジャズ発祥の地」として知られており、音楽文化の根強い土壌を持つ都市である。「Quintet神戸」は、その歴史ある土地で新たな文化を育み、次世代の表現者たちの拠点となることを目指している。
マチアケは、「人生のきっかけ百貨店〜世界に繋がる“みかた”創り〜」という理念のもと、人とのつながりを通じた新しい価値の創造を追求しており、孤立しがちな現代社会において、シェアハウスという形で温かな共同生活の場を提供している。
なお、「Quintet神戸」は、防音室を利用しない入居者も受け入れており、楽器を演奏しない人や動画配信を行わない人でも入居可能だという。音楽や創作に関心がある人だけでなく、多様な価値観を持つ人々が集う新たな住まいとして、注目が集まっている。神戸市内で住まいを探している人には、見学も受け付けている。