株式会社ジェイフィールは、2023年4月、コロナ禍で変化した「コミュニケーション・組織・感情」に関わるアンケートと「リモートワークの実態調査」を実施。この調査の一部は最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月にも行われ、コロナ禍の3年間で働く人達の間に起こった感情の変化が浮き彫りになっている。

コロナの終焉が見えなかった2021年4月(コロナ禍の1年間を経験)の調査では、組織、個人の感情とも「あきらめ感」「不安感」と言ったネガティブな感情がTOP3を占めていたのに対し、本年、2023年4月の調査では「お互いに支え合おう、助け合おう」と言った「支え合い感」や「認め合い感」が上位を占めている。これは社会、経済活動が平常に戻りつつあることによる安心感や、分断の3年間で逆に人と人とのつながりの重要性に気が付き、多様性を認めるようになった風潮によるものと推測されます。また、「リモートワーク」の自己選択権により「職場へのエンゲージメント」や「継続勤務意欲」にも差異が生じていることが判明。どのような場所と時間で仕事をするか自分の裁量が大きいほど効率的に仕事が出来ていると実感し、「仕事のやりがい」「職場へのロイヤリティ」が高い傾向となった。

新型コロナウイルスの感染拡大から約3年。働く時間や場所、人事評価、若手育成など様々な場面での変化を余儀なくされた全ての働く人、組織は、今後「何」に注力していけばよいのか。そんなヒントが見つかる調査結果を発表する。

【調査概要】
◆調査形式:インターネット調査
◆調査地域:全国
◆調査対象者 :(①~④and条件) 
①従業員数300人以上の民間企業の従業員(上場企業もしくはそれに準ずるような企業)
②正社員
③オフィスワーク勤務者
④最近6ヶ月以内のテレワーク経験者(週1日以上のテレワークをしている方)
◆サンプル数:合計315s 
◆実査期間:2023年4月21日(金) ~23日(日)

【対象者属性】

<調査のサマリー>

働く人の感情が回復傾向に
・2020~21年に不安感が極限まで高まり、どん底に落ちた感情状態が回復傾向にある。経済活動が再開され、人流が復活したことで、多くの人が希望を持てるようになったためだと考察する。
・不安感が大幅に減少し、お互いを認め合う気持ちと支え合う気持ちが大幅に増加した。

働き方の多様化が定着していて、今後も続こくことが予想される
・コロナ禍により働き方が多様化したため、世の中が働き方の多様性を認めるようになっている。そして、 コロナ禍以前への働き方に抵抗感を示す人が少なくなく、多様化の流れは続くと見られる。
・今後は働き方の多様化を許容する企業が増加するのではないだろうか。

社内の働き方に関するムードとエンゲージメントの関係性
・コロナ禍以前の働き方に戻ろうとする企業は、従業員のエンゲージメントが低い傾向にあることが分かった。また、継続勤務の意欲、意向にも影響を与えることが分かった
・働き方の多様化を容認できない企業は、社員から魅力を感じて貰えず、人材流失の危険性を高めると言えそうだ。

1:自分感情/組織感情 TOP5 時系列比較

2021年と2023年の感情状態を比較すると、「自分/組織感情」共に、不安感がトップ5からは消え、認め合い感がトップに来ていることが分かる。経済の不透明感が減少したことに加え、コロナ禍に個で過ごす時間が増え自分らしさを出せるようになったことで、他人も尊 重出来る「多様性の容認」がポジティブな感情を持てるようになった要因と考えられます。組織感情では、強制的な分断を経て、人と会うことに喜びを感じるようになり、認め合い、支え合い、安心感、連帯感が高まってきたようだ。個人感情では、リモートワークなど働き方が多様化されたことで、効率実感が高まったが、同時に「燃え尽き感」や「あきらめ感」を感じている人も一定数はいるよう。詳細は後述しますが、年齢や立場によりリモートワークへの価値観が違う実態も浮彫になった。

2:自分感情/組織感情 時系列比較 調査結果全容

3:働き方(リモートワーク)の自己選択権

週1回以上リモートワークを認めている企業では、管理職、メンバー層ともにリモートワークの自己選択権はかなり高いと言える。
コロナ禍を契機に、働き方の多様化が認められて来ている様子が伺える。
従業員規模が大きいほど、働き方の自己選択権が大きい傾向にある。

4:リモートか出社か、働き方の選択理由

リモートワークを選択する理由の反応率の高さに比べると、出社を選択する理由の反応率自が低い。これは、出社には消極的な姿勢が現れているためだと思われる。
リモートワークを選択する理由としては、効率で、生産性が上がるためだと考えられる。
リモートワーク開始当初には、出社をしないとコミュニケーションが取れないと考えられていましたが、それも解消されている様子が伺える。


5:社内の働き方に関するムードと抵抗感 役職別

役職別に見てみると、マネジャー層も8割がコロナ禍以前のワークスタイルに戻ることに抵抗感を示していることが分かる。
仮説として、経営層から出社の圧力が出ているのか、もしくは出社を前提とした部署から同調圧力が出ている可能性がある。
しかし、約半数は「出社を前提とした働き方のムードがある」と回答しており、多様性を求める社員と企業側にギャップが生じているようだ。

6:社内の働き方に関するムードとエンゲージメントの関係性

コロナ禍以前の働き方に戻ろうとする企業は、従業員のエンゲージメントが低い傾向にあることが分かりました。また、継続勤務の意欲、意向にも影響を与えることが分かる。
働き方の多様化を容認できない企業は、社員から魅力を感じて貰えず、人材流失の危険性を高めると言えそうだ。

7:働き方の自己選択権と自分感情との関係モデル

働き方の自己選択権と感情にどのような相関関係があるか、パス解析を実施。
選択権があると感じている人は、効率的に働けており、かつ、創造実感と周囲に必要とされている存在実感が高まる傾向にあることが分かった。
結果として、仕事のやりがい、職場へのエンゲージメント、継続勤務の意欲も高まる。

8: 上司・部下とのコミュニケーション頻度/同僚とのコミュニケーション頻度 時系列比較

コロナ当初は4割近くの人が、コミュケーションが減っているもしくは、取れていなと回答していましたが、今は2割程度に減っている。
リモートワークの生活に慣れたため、2023年はコミュケーション量が変わらないと回答している人が半数以上になった。
テレワーク下でもコミュニケーションが取れるようになっている様子が伺える。

コロナ禍以前は出社を前提としていたので、働き方の多様化を考える必要性はあまりありませんでした。しかし、コロナ禍でリモートワークが広がったとことで、働き方の多様化、無駄な仕事の削減につながった。つまり、さまざまな固定観念があることに気がついたということです。一方で、人とのコミュニケーションなど本当に必要なものも見えてきたのではないだろうか。

本調査で働き方の多様化を求め、容認する機運が高まっていることが分かった。そして、その機運に乗り遅れると社員のエンゲージメント低下、離職のリスクにつながることも分かりました。リモートワーク対出社(対面)の二項対立で捉えるのではなく、重要なことは社員一人ひとりに働き方の選択権を与えること。今こそ、みんなに同じ働き方を強要する同質経営を転換し、多様性を認め合う経営に移行するチャンスだと考える。そのためには、感情面と仕組み面の両面からアプローチしていく必要がある。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000065739.html