データ活用が注目される中、Web領域で活動されている方の中には、データ分析や活用の領域で仕事をしたいと考えている方も多くいるのではないでしょうか。

クリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)の大谷は、Web制作ディレクターからデータ分析の道に進み、さらにより広い視点でデータ活用を行うデジタルマーケティング領域へ、着実にキャリアアップしています。そんな大谷に、キャリア構築の考え方や、現在のお仕事について話をうかがいました。

  • デジマ業界で活躍したい人におすすめの記事です。
  • 弊社でマーケティングコンサルタントとして活躍する大谷が登場します。
  • キャリア構築の考え方ついて聞いています。
株式会社クリーク・アンド・リバー社
デジタルマーケティンググループ
大谷 亜希子

新卒で入社した企業を退社後、Webスキルを修得し、2005年より派遣社員としてwebの更新・制作業務を開始する。その後、正社員として入社した企業で8年間、ディレクターとしてWeb制作・運用に携わる。2016年から社内でジョブチェンジし、マーケティングコンサルタントとして、サイト分析・課題抽出・提案などを行う。2020年5月、クリーク・アンド・リバー社に入社。Web分析の他、多数の企業のデジタルマーケティング支援を行っている。

新卒で志望していた「広告の仕事」に近いWebの世界へ

──現在のお仕事内容を教えてください。

現在は、プロジェクトマネージャー(PM)として、クライアント企業のデジタルマーケティングの推進、支援に従事しています。大きめのプロジェクトでは他のPMの方の補佐、小さいプロジェクトではPM業務と同時に分析・提案の実務をこなす、などの形もあります。

──幅広くご活躍ですね。具体的には後ほどうかがいますが、まずは、これまでのお仕事について聞かせてください。新卒ではWebのお仕事はされていなかったそうですが……

はい。新卒のときは、時代的にもWebの仕事がまだ今ほど世の中に浸透していない頃でした。広告代理店を志望していましたが、希望通りにはいかず、電話アポイントメント業務に従事していました。

そんな中、企業や店舗のプロモーションを担うWebは、はじめにやりたかった広告の仕事に似ていると感じるようになりました。「これからはWebの時代」とも考え、学校に通って技術を身につけ、派遣社員としてWeb制作に携わりました。その後、正社員として勤めたWeb制作会社で、ディレクターとして、コーポレートサイトの立ち上げやリニューアル、キャンペーンサイトの立ち上げ、大規模ECサイトの運用などに、8年間携わりました。

──Web制作は、やりがいのあるしごとでしたか?

はい。Web黎明期から続く企業で、大きなクライアント企業も多く、制作したサイトが多くの人に見てもらえて充実していました。クライアントの要望をうかがうことからはじめ、公開されるまでの一連の流れを、数多く経験できたことが大きな糧になりました。

できる領域を広げることで、マイナスになることはない

──その後、社内のサイト分析チームに入られます。何がきっかけだったのでしょうか?≈

コンペに参加させて頂くこともあったのですが、経験則やあるべき論に基づいた提案をすることに少しずつもどかしさを感じるようになりました。現行のサイト分析を通じ、その企業の課題を踏まえた提案をする必要があると感じていました。それを上司に相談したところ、「社内に分析のチームがあるからやってみては?」と勧められたのです。

──サイト分析に興味をお持ちになった背景はよくわかりました。でもそこで、本当にジョブチェンジをするのは勇気のいることではありませんか?

そうですね。Webサイトに携わることは同じとはいえ、制作と分析では、キャリアを変えるに近いものがありましたから、とても悩みました。経験を積んだディレクターがキャリアを構築していく次のステップとしては、プロデューサーとして、全体を統括する立場になるというのはよくある事例です。でも私はそこにはあまり興味が持てませんでした。それならば、できることを増やしていこうと。分析のスキルは、今後求められるものだという思いもあり、決心しました。新しい挑戦は大変ではありますが、できる領域を広げることで、マイナスになることはありません。


──実際に分析の仕事をはじめて、いかがでしたか?

メインで使用したGoogleアナリティクスは、それまで私にとって「なんだかよくわからないシロモノ」だったのです。それをひとつずつ紐解いていって、わかってくるのが楽しかったですね。毎日発見があって、できることが広がっていく実感がありました。
経験を重ね、分析結果を基にその企業様に向けた提案ができるようになりました。

──分析チームで、SEOコンサルティング、Googleデータポータル設計など幅広い活躍をされた後、2020年にC&R社に入社されました。転職の理由は?

社外のセミナーなどに参加して「データ分析」の世界がとても広いことに気づいたからです。私は主に、Webサイトの範囲内での分析を行っていましたが、世の中を見渡すと、多くの企業が、もっと広いところから膨大なデータを集め活用していました。たとえば、お店のポイントカードでの購買データや、どのエリアから来店するかの移動者データなどです。そのことを知って、より広いデータ活用の仕事に携わりたいと考えました。

──そのための活躍場所をC&R社に決めたのはどうしてですか?

鉄道会社と協働し、位置情報データの活用を進めている実績に特に惹かれました。その他にも企業のビッグデータを活用したマーケティング支援を広く手がけていることが決め手となりました。

周囲の人を巻き込んで、ゼロを1や10にする

───今、お話をうかがっていて感じたのですが、大谷さんは、世の中の動きをよく見て、戦略的にキャリアを構築していらっしゃいますね。

んー、そうですねえ(笑)。変化の激しいWeb業界ですから、3年後、5年後にどうなっているかを見据えて、どう働くかを考えるのは大切だと思います。ただ、私の場合は欲求や主張が強いタイプではなく、「これをすごくやりたい!」ということがそれほどないのです。だから、世の中がこう流れているから合わせていこう、この波に乗っていこうと、そんな風に考えている節があるかもしれないですね。


───なるほど。Web制作に携わっていて、データ分析領域に進みたいと思っている人に、何かアドバイスはあるでしょうか。

数字に興味があって、エビデンスをもとにサイトを変えていくことに興味がある人には、キャリアとしてよい道だと思います。とはいえ、仕事をしながら新しいことをゼロから勉強するのはしんどいことです。社内に分析をやっている人がいれば、積極的に声かけをして勉強会をやってもらうなど、ゼロを、1、あるいは10にして、入口に立つ努力をするとよいのではないでしょうか。前職でも、リクエストをいただいてデータ分析の勉強会を開いたことがあります。

───Web制作の経験は、データ分析で強みとなりますか。

はい。実際の制作を経験した人材は、分析から導き出した方針を、どのようにサイト上で実現するのか、引き出しを多く持っているので、現実味のある提案が可能です。

デジタルマーケティングは、ビジネス全体を見る視点が必要

──C&R社に入社後のことをお聞かせください。以前のお仕事とデジタルマーケティングはどのように異なるのでしょうか。

以前はWebサイト上に限定しての分析・提案でした。現在は、Webに限らない広い視点での提案が求められます。ビジネス全体のあり方を考える視点が必要となりますし、ECサイトでは、売上を上げることが命題となり、よりシビアだと感じています。

──慣れないうちは大変だったのではないでしょうか。

入社して1年が経ちましたが、まだまだ勉強中です。ビジネス全体を見渡す視点は、これまでにあまり持ってこなかったものです。難しいですが「世の中にないサービスを生み出していこう」という現場にも立ち会わせていただく機会もあり、刺激を受ける毎日です。

──入社して、驚いたことなどはありますか。

ビジネスの上流での提案経験を多く持つ優秀な方が多いことですね。PMの方々の仕事ぶりは素晴らしく、身近で見られることが本当に勉強になっていますし、クライアント企業との折衝、協力会社とのやりとり、プロジェクトの進め方、どれをとっても参考になります。

また、クライアント企業や、プロジェクト規模の大きさにも驚きました。お客様は、データでビジネスを改革していく意識が高い企業が多いため、有料のマーケティングツールをすでに導入しているところも多いですね。ゼロから有料ツールを導入していただくのは、ハードルが高いものですから、それだけ意欲の高いお客様が多いということです。やりがいも大きくなります。

経験を活かしながら、「デジマ」領域に近づき力をつける日々

──C&R社で携わったお仕事の中から、印象的なものを教えてください。

最初に担当したのは、生活雑貨のECサイトでした。PM業務と分析・提案を総合的に担当した点でも印象深い仕事です。週1もしくは隔週でお客様とミーティングを重ね、分析、施策提案・実施、さらに分析を行う、いわゆるPDCAサイクルを回していくプロジェクトでした。最初の担当案件ということもあり、無事にプロジェクトを完遂できたことが大きな自信になりました。

──よい滑り出しでしたね。他にはどんな案件がありましたか。

入社してしばらくは、それまでの経験を活かしWebサイト領域を担当していましたが、はじめてデジタルマーケティング領域で、PMとして参加した仕事も印象に残っています。ショッピングモールサイトのプロジェクトで、関わる人も多いプロジェクトでした。購買データやサイトの行動ログから、表示内容や配信メールを変えるなど、One to Oneコミュニケーションを実施する、「デジマ」の入口に立った実感を得られた案件でした。

また、とあるプロジェクトでは、お客様とワークショップを開催し、データ分析についての勉強を共に行うということも経験しました。「このようにデータを見ている」ということを伝えられて、とてもよい関係を築けたと思います。

──規模、やりがいともに大きなお仕事を経験されている毎日ですが、今後の目標も教えてください。

まだまだ、ビジネス全体を考えていく視点は足りませんが、PMとして入社していますから、規模のあるプロジェクトも1人でまわしていけるようにならないといけません。幅広くいろいろな勉強をしていきます。また、現場で実務を担うことも好きですので、その立ち位置は続けられるようにしたいと考えています。そのためにも、マーケティングツールのスキル修得も目指していきます。


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インタビュー・テキスト:あんどう ちよ/撮影:SYN.PRODUCT/企画・編集:向井 美帆(CREATIVE VILLAGE編集部)