2020年春、ついに日本でも都市部を中心に5Gのサービスが開始されました。4Gよりも通信技術が飛躍的に進歩することで、この先、私たちの生活や社会は大きく変わるといわれています。しかし、「4Gとどう違うの?」「5Gになって何がどう変わるの?」と疑問に思う人も多いでしょう。

この記事では、5Gの特徴や4Gとの違いを解説しながら、今後、私たちの生活がどのように変わっていくのかをわかりやすく紹介します。

1. 5Gとは?4Gとの違いは?

5Gとは何かを理解するには、まず1G~4Gまでを知っておくとスムーズです。この章では1G~4Gを振り返り、世界や日本における5Gの導入状況を紹介します。

1.1 5Gの「G」は何の略?

「G」は英語のGeneration=世代の略です。つまり5Gとは“第5世代“、より正確には「第5世代移動通信システム」を表します。第5世代があるということは、それ以前の世代も当然存在しています。それが1G~4Gです。

1Gと2Gは、3Gが登場した際に従来の移動通信システムとの区別のために名付けられ、2020年12月現在の主流は4Gとなっています。

1.1.1 第1世代(1G)

1Gは携帯電話登場時期の1985年から1990年代に使用されていました。日本国内では携帯電話が珍しかった時代の通信システムです。

現在の通信システムは音声以外にもデータのやり取りが可能ですが、1Gはアナログ方式の通話のみ可能で、日本国内では1999年にサービスが終了しています。

1.1.2 第2世代(2G)

1993年にサービス開始となった2Gは、電話だけでなくメールなどのデータ通信もできるようになりました。この頃からモバイルサイト(ガラケーで見るサイト)が出現し始めます。携帯電話にカメラが搭載され、いわゆる“写メ”が流行しだした時代です。

ただし、通信速度が28.8Kbpsという規格であるが故に、大容量のデータ通信には不向きでした。

1.1.3 第3世代(3G)

3Gは、アップル社のiPhoneが初めて登場した時代に使われた移動通信システムで、日本国内でのサービス開始は2001年です。2Gと比べて通信速度も飛躍的に向上し、最大で2Mbps(静止時)の通信速度が出るようになりました。

2Gよりも画像や音声がやり取りしやすくなり、コンテンツの幅や種類が拡充しました。その結果、2G時代に生まれたガラケーサイトは、徐々に姿を消していくことになりました。

1.1.4 第4世代(4G)

4Gが日本国内でサービス開始となったのは2015年です。3Gと4Gの大きな違いとしては、通信速度が挙げられます。

3Gの通信速度は最大2~40Mbps程度でしたが、4Gでは最大100Mbps~1Gbpsとなりました。これにより、3Gでは難しかった画質の高い動画配信サービスも、携帯電話(スマートフォン)で閲覧できるようになったのです。

簡単にいえば、3Gは“写真などの画像が閲覧しやすくなった時代”、4Gは“動画が視聴しやすくなった時代”といってもよいでしょう。

2. 5Gの特徴

5Gの特徴は、大きく分けて3つです。この3つの特徴によって、これまで実現できなかった新たなサービスやシステムが実現できるようになります。

2.1 超高速

現行、4Gの最大通信速度は100Mbps(0.1Gbps)~1Gbps程度です。一方5Gは、目標理論値での最大通信速度は20Gbpsで、20倍~200倍の通信速度となります。通信速度は文字通り「超高速」となり、大容量通信が可能です。

例えば、2時間を超える映画などの大容量コンテンツを、5Gでは数秒でダウンロードできるといわれています。通信速度の上昇によって、4Kや8Kの超高画質動画の配信もスムーズに行なわれるようになり、ユーザーの利便性が向上します。超高速に、超高画質画像や動画を扱えるようになると、さまざまな分野の進歩にも役立ちます。

例えば、セキュリティの分野で考えてみましょう。5Gによって超高速に大容量の通信が可能になると、従来人がいるかいないかの判断しかできなかったものが、人物の認識・特定や行動が把握までできるようになります。

2.2 多数同時接続

多数同時接続

5Gになることで、一定面積内の同時接続数も飛躍的に向上します。平方kmあたりの同時接続数は、現行の4Gは10万台なのに対して、5Gでは10倍の100万台です。

4Gで一定面積内の同時接続数が増えると、通信が集中して接続できなくなったり、通信速度が落ちたりする問題がありました。そこで5Gでは、同じ面積のなかに基地局を密に配置する「小セル化」を進めることで対応します。

スマートフォンやパソコンだけでなく、家電や車、カメラ、さまざまなセンサーなど、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTを実現するために、5Gの多数同時接続は必要不可欠な要素です。

あらゆるモノがインターネットにつながることにより、ユーザーの利便性やセキュリティの向上、コスト削減などの効果が期待でき、5Gによる通信変革の一端を担っています。

2.3 超低遅延

超低遅延

5Gでは、通信の遅延が抑えられ、よりリアルタイムな通信が実現できます。
現行の4Gでは、10ms(1秒の100分の1)ほどの通信遅延が発生しますが、5Gでは1ms以下です。つまり5Gでは、体感レベルの遅延をほぼ感じることがなくなります。

超低遅延により、車の自動運転の精度や、遠隔治療などの分野での活用が期待されています。車の自動運転や遠隔治療、建機の遠隔操作などは、通信の遅延が致命的な事故につながる恐れがあり、安全性がなによりも重視されます。

こういった通信の遅延が危険を招くサービスやシステムも、超低遅延によって高い信頼性をもって実現することができるようになります。その他、5Gを利用して離れた場所からバンド演奏をするなど、エンタメ分野においてもさまざまな変革がもたらされるでしょう。

3. 4Gから5Gへ!5Gの普及で生活はどう変わる?

5Gの普及により、日常生活では以下のような変化が見られるでしょう。

3.1 スポーツ観戦

大容量・高速通信により、4Kや8Kといった超高画質のVR体験がリアルタイムで実現されます。自宅にいながら、プレイする選手たちの側にいるかのような臨場感が味わえるでしょう。

実際にソフトバンクでは、2019年8月に5Gのプレリリースを行ない、バスケットの試合をコートの真横から見ているような体験を提供しました。ほかにも、コートを囲むように多数のカメラを設置することで、見たい視点で観戦する「自由視点映像」も、5Gによる大容量・高速通信により実現されたのです。

NTTドコモも、2019年ラグビーワールドカップにおいて、パブリックビューイング形式で5Gプレリリースを実施しました。手元のスマートフォンを利用して「自由視点映像」や、選手データを閲覧できるようになっています。ハイライトシーンも自らのタイミングで確認できるなど、ユーザーの利便性が格段に向上したといえるでしょう。

3.2 ゲームがすべてクラウドに

ゲームがすべてクラウドに

現在は、専用のゲーム機とソフトを用意してプレイするのが一般的です。ソフトのダウンロード化やオンライン対戦など、ネットワークを通じたゲームプレイもできるようになっていますが、5Gでは大きく変わります。

5Gによって、ゲームはすべてクラウド上でプレイできるようになり、専用のゲーム機やソフトを用意する必要がなくなります。サブスクリプションが主流となり、都度購入することもほとんどなくなるでしょう。

また、動きの激しいアクションゲームやFPSといったジャンルのゲームは、通信遅延がプレイに大きく影響します。これまでは、通信遅延のためにすべてをクラウド上で実現することはできませんでしたが、5Gの超高速・超低遅延によってその問題の大部分は解消されます。

ゲームの分野もeスポーツで盛り上がりを見せており、これからゲームのあり方も大きく変わることでしょう。

3.3 自動運転

自動運転

5Gによって、車も自動運転が主流になっていくと考えられます。信号や他車の走行状況、発信、停止などの情報を遅延なく受信できるようになるためです。

車の自動運転は、リアルタイムに多くの情報を処理しなければならず、わずかな通信遅延も許されません。少しの通信遅延によって、取り返しのつかない事故を引き起こす恐れがあるからです。

5GによってIoTが普及し、さまざまなセンサーがインターネットにつながることで、より効率的な情報の送受信ができるようになります。5Gは遅延なく情報を受け取って処理できるため、車の自動運転では必要不可欠だといえるでしょう。

また、著しい発達を遂げているAIの分野でも、5Gは大きな影響をもたらします。IoTによって大量の情報が飛び交うようになりますが、これらを5Gによって遅延なく受信し、AIが適切に判断することで、車の自動運転の安全性が増すと予想されます。

3.4 医療の進化

医療の進化

5Gは、医療分野でも非常に期待されている技術です。5Gの超高速・超低遅延によって遠隔治療が可能となるからです。医療では高精密化されている画像が使われますが、場所を問わずにいつでも閲覧できます。

また、5Gによって、都市部・地方での「均てん化」にも期待が寄せられます。均てん化とは、都市部や地方での医療サービスの格差をなくし、どこでも高度な医療が受けられるようにすることです。現状では、医療の均てん化は実現できていません。都市部と地方を比較すると、医者の数や割合を考えても、高度な治療は都市部に集中しています。

しかし、5Gにより遠隔治療や遠隔手術などが遅延なく行なわれるようになると、インターネットを介して全国の医療施設がつながります。ロボット技術の発展も相まって、どこにいても最先端の治療が受けられるようになるでしょう。

日本国内に限らず、海外とも5Gによって接続されれば、海外でしか受けられなかった手術を日本で受けることも夢ではありません。

4. 【2021年版】世界の5G事情

5G

世界各国における5Gの導入状況はどうなっているのでしょうか。ここでは、諸外国の動向とともに、日本の各キャリアの状況についても紹介します。

4.1 世界の5G導入国

2019年には世界に先駆け、韓国・アメリカ・イギリスが5Gを導入しました。
それに続いて2020年には、日本でも東京オリンピック・パラリンピックを見越して5Gの商用サービスが開始されました。

さらに、2021年以降はインドやロシアなどでも導入予定で、今後5Gは爆発的に普及していくと予想されます。諸外国の状況については、下記の表を参照ください。

韓国 世界に先駆けて導入した3カ国のひとつ。5G加入者が300万人を突破したといわれる
アメリカ 世界に先駆けて導入した3カ国のひとつ。AT&Tが全米12都市で5Gサービスを提供開始
イギリス 世界に先駆けて導入した3カ国のひとつ。アメリカ、韓国に続き世界で3番目に5Gを導入
欧州 イギリスを除く欧州各国は、スイス、スウェーデン、フィンランド、スペイン、ドイツなど各国で導入が進んでいる
南米 ウルグアイが南米で初めて5Gサービスを開始
オーストラリア 2019年5月に導入
南アフリカ 2019年9月から、ヨハネスブルグとトスウェインの主要地域で導入
中国 2019年末に向けて商用サービスを開始するため準備中
日本 東京オリンピック・パラリンピックを見越し、2020年に本格的な商用サービスを導入
カナダ 2020年に導入
インド 2021年以降に導入予定
ロシア 2021年に導入予定。ロシアを含むCISすべての国が2025年までに5Gを開始予定

※上記情報は2020年12月時点で、筆者が独自に調査したものです。
※各国の導入状況には地域差があります。

4.2 日本の各キャリアの動向

日本では、2020年の春に5Gのサービスが開始されました。5Gを提供するキャリアは、4キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)です。各社とも5Gのプレリリースとして、さまざまなイベントで5Gネットワークの体験会が実施されました。

基盤展開率とは、日本国内を10km四方で区切った際に、5G基地局がある範囲の割合を示すものです。5G基地局がなければ5G通信は行なえないため、基盤展開率が高いほど、日本国内のどこにいても5G通信ができることを表しています。

2024年度末までの基盤展開率は、NTTドコモが97%と最も高く、ついでKDDIの93.2%となっています。NTTドコモは2020年6月末には47都道府県にエリアを拡大しました。KDDIは2021年度に1万局を全国展開予定です。

NTTドコモとKDDIが、日本の5G普及をリードする存在になるかもしれません。

5. 世界の5G市場の今後の展望

5G

3Gから4Gへの移行は、機能性の高さなどから利用者の支持を得て要求が高まり、当初の予想を上回るペースで利用が進んできました。

5Gの場合は今後、世界全体でどの程度のペースで拡大していくのでしょうか。最後に、5Gの今後の普及予測を見ていきましょう。

5.1 世界の5G市場の成長予測

おもに、モバイル通信事業者から構成される業務団体であるGSMAは、2025年の時点での5G回線比率は、モバイル全体の約20%を占めると予測しています。
地域別だと、中華圏、欧州、北米などでは30%~40%を超える見込みなのに対して、ほかの地域では一桁から10%台に留まる予測です。

5Gは4Gに比べて高い周波数帯域を利用するため、利用可能エリアの整備に時間がかかります。また、4Gのときのスマートフォンのような、画期的な移動通信端末が登場しないかぎり、普及は比較的穏やかだろうとされています。

しかし、それは単なる予測に過ぎず、今後の動き次第で覆されるかもしれません。

5.2 普及が進む一方、5Gを規制する国も

5Gの電波によって人体に与える影響が懸念されるとして、2019年、ベルギーがいち早く5Gの導入を禁止しました。また、欧州諸国、特にフランスでは健康被害面だけでなく、環境リスクや景観上の理由から、市民がデモを実施するなど、5Gを禁止・規制する動きが出始めています。

しかし、現時点では正確な検証ができておらず不確かな状況ではありますが、健康被害との明確な因果関係は確認されていません。普及とともに進む今後の研究を注視しましょう。

6. 4Gから5Gの新時代へ!今後の動きに注目しよう

5Gは“第5世代“を意味し、4Gと比べて通信技術が格段に進歩しました。5Gは、「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という大きな3つの特徴を持っています。

また、IoTやAI、ロボット技術の発展や、医療分野、建設分野、車の自動運転技術などの分野においても大きな影響を与えるといわれています。

現在、海外では続々と5Gが導入され始め、日本でも2020年の春に商用サービスが開始されました。全世界が5Gに注目しているなか、これから生まれる新たなサービスや商品に大きな期待が寄せられています。

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