Web3.0は、主にブロックチェーン技術によって実現されようとしている新しいWebの世界です。アメリカの著名な投資家であるMichael Novogratz氏も、2019年5月に「世界を変えるのはビットコインではなく、Web3.0」と発言しています。

本記事では、Webの歴史を振り返りながら、次世代WebともいわれるWeb3.0について解説していきます。

なお、前提として、Web1.0/Web2.0/Web3.0などの名称には、明確な定義はなく曖昧な部分があることにご注意ください。本記事ではそれぞれを次のように定義し、解説と考察を述べていきます。

  • Web1.0:1995年~2005年(ホームページ時代)
  • Web2.0:2005年~2018年(SNS時代)
  • Web3.0:2018年~(ブロックチェーン時代)

Webの歴史を振り返る

Web3.0に触れる前に、Web1.0とWeb2.0についての歴史を振り返ります。

Web1.0時代

Web1.0時代は、Webがまだ一方通行であった時代です。チャットツールなどもありましたが、多くはWebページを閲覧するだけの一方的な情報発信(受信)でした。ダイアルアップ回線を用いて、必要なときにインターネットに接続する従量課金制が一般的だった時代です。インターネットの接続速度も非常に低速であり、画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。
Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどが登場し始めた時期で、その他の主なサービスとしては、次のようなものがありました。

  • AOLチャットルーム
  • MSNメッセンジャー
  • 個人ホームページ

など

Web2.0時代

Web2.0時代では、ADSLなどによってインターネットへ常時接続することが一般的となりました。インターネットの接続速度も高速化し、画像や動画を使ったコンテンツの配信もできるようになっています。Webで双方向に情報がやり取りできるようになった時代であり、Web2.0は現在の主流でもあります。

Web1.0時代でも、テキストベースで双方向に情報のやり取りを行うことは可能でした。しかし、Web2.0ではさらに広範囲に渡って、さまざまな人との双方向の情報のやり取りができるようになっています。SNSによって誰もがWeb上で簡単に情報を発信できるようになりました。Webは単純に閲覧するだけのものではなく、自らが参加できるものとなったのです。

Web2.0時代の主なサービスとしては、次のようなものがあります。

  • YouTube
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram

など

Web2.0の問題点

今なお続くWeb2.0時代ですが、次の2つの問題点があります。

  • 特定企業に個人情報が集中するプライバシー問題
  • 中央集権型によるセキュリティ問題

1つ目の特定企業に個人情報が集中する問題は、個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。
現在、Google、Amazon、Facebook、AppleといったGAFAを筆頭に一部の大企業には、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴などあらゆる情報が集まっています。これらの企業は世界的に利用されているサービスを展開しているため、世界中のあらゆる個人情報が独占的に集められる状態になっているのです。
プライバシーの観点からこの現状を問題視する声も多く、個人のプライバシーをどう守るかは重要な課題のひとつとなっています。

2つ目の中央集権型によるセキュリティ問題は、サイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性がある問題です。現在、ユーザーの個人情報はサーバーで集中管理されています。このサーバー・クライアント方式は一般的な管理方法ではありますが、サイバー攻撃を受けやすく、個人情報の流出や不正アクセス、データの改ざん、Webサイト/Webサービスが利用できなくなる、などのリスクがあります。
実際にサーバーが攻撃されることで、個人情報が大量に流出したり、Webサービスが利用できなくなることは頻繁に起こっており、ニュースで目にしたことのある方も多いでしょう。

プライバシー問題とセキュリティ問題、この2つはWeb2.0の問題点です。

Web3.0で何が変わる?

今後訪れるWeb3.0では、どんなことが変化するのでしょうか。Web3.0で変わることについて、一つずつ解説していきます。

Web2.0の問題点が解決

Web3.0には、明確な定義がありませんが、ブロックチェーン技術によって変革するものと見られています。ブロックチェーン技術の活用によって、Web2.0の問題点が解消されるのです。

・特定企業に個人情報が集中すること(プライバシー問題)
・中央集権型であること(サイバー攻撃を受けやすい)

ブロックチェーン技術により、非中央集権型となり、個人情報は特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、ユーザー一人ひとりが参加するネットワークがサービスを提供する基盤となるのです。
個人情報が分散管理され非中央集権型となることで、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減し、Web2.0の問題点が解決します。

・Web2.0 APPSからWeb3.0 DAppsへ

Web2.0からWeb3.0に変わることで、私たちが普段使っている主要なアプリが変わることが予想されています。以下の画像はThe Internet of Blockchains Foundationの会長Matteo Gianpietro Zago氏がMediumで公開した画像です。

出典元:Medium

なかには、すでに開発されリリースされているアプリも含まれていますが、一部を見ていきましょう。

クラウドストレージサービスのDropboxやGoogle Driveは、Web3.0ではStorj(ストレージ)やIPFSに変わることが予想されています。従来のストレージサービスは、特定企業が管理するサーバー上にファイルを保存する中央集権型のサービスです。StorjやIPFSは、従来のクラウドストレージサービスと異なり、非中央集権型のサービスとなります。ブロックチェーン技術を活用して、ユーザー同士でデータを共有するP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワークを利用するのです。

もちろん、ユーザー同士でデータを共有するといっても、データは細分化された上で暗号化されているため、所有者しかデータを復元することはできません。P2Pネットワークに参加したユーザーによってサービスが実現されるため、不正アクセスや情報漏えい、データの改ざん、特定企業によるプライバシーの侵害から守ることができるのです。

Web3.0によってアプリはDAppsへと変わります。DAppsとは分散アプリケーションのことで、ブロックチェーン技術を用いた非中央集権型のアプリケーションを表します。先ほど紹介したStorjやIPFSなどのように、さまざまなアプリやサービスがDAppsへと変わっていくことでしょう。

デバイス、OSからの開放

Web3.0になることにより、特定のOSやデバイスを介さずともアプリやサービスを利用できるようになります。現在であれば、AndroidやiOSといったOSごとにアプリが開発されていますが、Androidでは利用できるのにiOSでは利用できない、といったアプリも少なくありません。
Web3.0では、特定のOSやデバイスを問わずに、アプリやサービスが使えるようになる可能性があります。

サービスの利用がシームレスになる

ブロックチェーンを活用したDAppsは、国境や人種による制限がなくなります。ブロックチェーンに参加するユーザーに必要な権限はなく、国籍や性別、人種などによってブロックされることはありません。

例えば、現在中国では、グレート・ファイアウォール(金盾)と呼ばれるネット検閲システムがあり、TwitterやFacebook、YouTubeといったサイトへのアクセスが検閲され、アクセスすることができません。
ですが、ブロックチェーン技術を活用したDAppsであれば、非中央集権型であるため、誰もが自由に自らが望むコンテンツへのアクセスを技術的には可能とするのです。

サーバーが大幅に安定する

ブロックチェーン技術(P2Pネットワーク)の活用により、分散的なサービス運用が可能となります。中央集権型はサイバー攻撃を受けやすい問題点がありましたが、分散的なサービス運用によって不正アクセスや情報漏えい、データ改ざん、サービスの停止といったリスクを軽減することが可能です。

例えば、TwitterやFacebookは、それぞれの企業が管理するサーバーが停止すると利用できなくなります。しかし、P2Pネットワークを活用するDAppsでは、参加しているユーザー同士でネットワークを構築しているため、サーバーの停止といった単一障害点によるサービスの停止が起こりません。

また、参加しているユーザー同士でデータのチェックを行っているため、不正アクセスやデータの改ざんが非常に難しく、リスクを軽減することにつながるのです。このことにより、サーバー(サービスの提供基盤)が大幅に安定することになります。

プライバシーを個人が取り戻すWeb3.0


Web3.0時代を迎えることで、特定企業が個人情報を管理する時代が終わりを迎えるといわれます。ブロックチェーン技術によって新たなWebの世界が訪れるのです。

Web2.0のSNS時代では、誰もがWebに参加して情報を発信することができるようになりました。一方でプライバシーにおいては問題も存在しています。しかし、Web3.0によって、個人がプライバシーを取り戻すことが可能となります。
国や人種を越えたボーダーレスな世界を生むともいわれるWeb3.0。私たちの暮らしがどのように変化するのか楽しみに待ちましょう。