幼い子供を育てていたり家族の介護をしていたりすると、フルタイムで働くのが難しいこともあります。
このような場合、「時短勤務」制度を利用したいと考える人も多いでしょう。しかし、実際にどれくらいの期間時短で働けるのか、いつフルタイムに戻せば良いのかなどが分かりにくく、利用をためらってしまうケースも少なくありません。

せっかく法律や企業で認められた制度なのに、よく分からないからと利用せずにいるのはもったいないことです。今回は、時短勤務がとれる期間をふまえ、フルタイム勤務に戻るベストなタイミングなどについて詳しく見ていきましょう。

時短勤務の法律上の扱いとは


時短勤務は育児・介護休業法で定められたれっきとした労働者の権利です。
時短勤務を望む理由が育児か介護かによって細かい規定は変わりますが、労働者が請求した場合に利用できる制度であることに違いはありません。

子育ての場合

3歳未満の子どもを持つ労働者に対して、次のいずれかの措置を設けることが事業主に義務付けられています。

(1)短時間勤務制度(いわゆる時短勤務制度)
(2)フレックスタイム制度
(3)始業・終業時刻のくり上げ・くり下げ
(4)所定外労働(いわゆる残業)をさせない制度
(5)託児所の設置やそれに準ずる便宜の供与

3歳から小学校就学前の子どもを持つ労働者に対しては、上記(1)~(5)の措置を講じるかどうかは企業の努力義務となっています。

参考:厚生労働省 育児・介護休業制度ガイドブック(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

介護の場合

要介護状態の家族を持つ労働者に対して、次のいずれかの措置を設けることが事業主に義務付けられています。

(1)短時間勤務制度(いわゆる時短勤務制度)
(2)フレックスタイム制度
(3)始業・終業時刻のくり上げ・くり下げ
(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成やそれに準ずる制度

参考:厚生労働省 育児・介護休業制度ガイドブック(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

時短勤務はいつまで取れる?

時短勤務は労働者の請求により取得できる制度ですが、請求すれば延々と続けられるわけではありません。取得可能な期間について正しく知っておくことが大切です。

時短勤務する理由が子育てと介護の場合で内容が異なるので、それぞれのケースでいつまで取得できるのか解説していきます。

子育ての場合

子育てを理由とする場合、3歳未満の子どもを持つ労働者に対して時短勤務が認められています。
つまり、「子供が3歳になる誕生日の前日まで」取得が可能です。

時短勤務制度が認められる期間(子育ての場合)

企業によっては3歳~小学校就学前の子どもがいる場合でも時短勤務を認める場合もあります。ですが制度の導入は企業への努力義務のため、必ず取得できるわけではありません。

時短勤務は基本的に「子供が3歳になる誕生日の前日まで」取得できると覚えておき、勤務先の規定がどのように定められているか確認しましょう。

▼時短勤務制度の導入

3歳未満:企業の制度導入は義務
3歳~小学校就学まで:企業の制度導入は努力義務

参考:厚生労働省 育児・介護休業制度ガイドブック(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

介護の場合

家族の介護の場合、取得した日から連続する3年以上の期間で時短勤務が認められています。また、2回以上利用できることも法律で定められています。

時短勤務制度が認められる期間(介護の場合)

育児による取得と同様に、労働時間の短縮やフレックスタイム制度の利用、出勤退勤時刻の調整などの措置を受けることが可能。

なお、時短勤務の途中に介護休業を取得するなど、休業制度と組み合わせながら利用することも認められています。

参考:厚生労働省 育児・介護休業制度ガイドブック(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

いつまで認められる?時短勤務の平均期間

育児を例にした場合、法律上では事業主に対し、労働者の子どもが3歳未満のうちは、時短勤務の請求があれば認める義務を課しています。

それ以上の年齢の子どもについては、あくまでも企業の努力義務となっているので明確な取得期間の基準はありません。ただ、平成29年度に行われた厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査」により、企業が実際にいつまで時短勤務の取得を認めているのか、平均期間が分かっています。

公表されたデータでは、3歳未満まで取得を認める企業が57.0%。小学校就学前まで取得を認める企業は18.9%という結果になりました。

育児のための所定労働時間の短縮措置等の各制度の有無  及び最長利用可能期間別事業所割合
参考:「平成 29 年度雇用均等基本調査」の結果概要 – 厚生労働省
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この結果から、時短勤務は規定通り「子どもが3歳未満まで」認めている企業が多いことがわかります。
逆に小学校卒業以降も時短勤務制度を認める事業所が4.1%存在するなど、どの期間まで受け入れるかはバラバラであることがうかがえます。

参考:「平成 29 年度雇用均等基本調査」の結果概要 – 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/07.pdf

子どもが3歳を超えてから取得を認めるかどうかは企業の努力義務であるため、引き続き取得したいなら前もって会社に相談しましょう。

時短勤務からフルタイムに戻すタイミングを見極めるには

育児がある程度落ち着いてくると、フルタイムに戻ろうと考える人もいるでしょう。
時短勤務が認められている期間内であれば、基本的には自分の好きなタイミングで戻せば良いのですが、後悔しないためにはいくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。

どんなポイントに注意すべきなのか、具体的に紹介します。

子育ての場合

子育てで時短勤務を取得していた場合、フルタイムに戻すのは自身の体の状態や子育ての状況などを冷静に見極めてからにしましょう。

出産後の体は非常にデリケートで、ホルモンバランスが元に戻るまでに時間もかかります。自分では「もう大丈夫」と思っていても、フルタイムで働きながら家事育児をこなすとなると、予想外に疲労がたまってしまう可能性もあるでしょう。
フルタイムに戻れば育児に関われる時間も減ってしまうため、配偶者や親族が協力してくれるかどうかも重要なポイントです。

さらに、保育園や幼稚園にいつから入れるのか、フルタイム勤務が終わるまで延長保育ができるのかも忘れずに確認しましょう。
時短勤務からフルタイムに戻ることで給与は増えますが、社会保険料などの出費も増えてしまいます。時短勤務中は、手続きをすれば健康保険や厚生年金の支払いを減額できるため、場合によってはフルタイムに戻っても期待したほど給与が増えないケースもあるでしょう。
保育園や幼稚園に預ける時間が長引けば、その分余計に保育料がかかることもあります。

これらの要素を総合的に判断し、時短勤務とフルタイムでメリットが大きいのはどちらなのかを考えなければなりません。

実際に時短勤務を利用して、仕事に復帰したママさんの体験をインタビューしています。
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介護の場合

介護による時短勤務の場合は、自分の意志というよりも介護する家族の状態によってフルタイムに戻れるかどうかが変わります。

状態が良くなったりほかに介護してくれる親族が見つかったりして、自分が付きっきりになる必要がなくなれば、フルタイムに戻っても大きな問題はないでしょう。介護施設などに入居させる予定であれば、確実に入居できる時期を確認した上で検討しましょう。

時短勤務は会社ごとに細かいルールがある場合も

時短勤務は、法律で定められた正式な制度です。ただ、実際に制度を運用するのは企業なので、細かいルールについては企業が独自に決めている場合もあります。

労働時間の短縮という基本的な措置以外に、出勤退勤時刻の調整などさまざまな代替措置を講じている企業も多いので、どんなスタイルで取得できるのか事前に会社へ確認しておきましょう。

法律では、事業主に対して3歳未満の子どもを持つ労働者の時短勤務に応じる義務を課しています。会社の人事担当者から連絡が来るのを待つのではなく、自分自身で就業規則を細かくチェックして会社と話し合うことが大切です。

なお、日雇い労働者や勤続年数が1年に満たない人、1週間の労働日数が2日以下の人などは、基本的に時短勤務を取得することはできません。企業が独自に認めていれば取得可能なのですが、法律上では取得の対象外となっているので注意しましょう。