各企業の働き方が変わり、リモートワークが必然となったコロナ禍。この大きな変化によって、新たな仕事の悩みや不安、課題もさまざまあると耳にします。WEB業界の著名企業は、どのようにリモートワークに適応していったのでしょうか。

今回は、地方創生を推進し、宮崎県に拠点を設けるなど全国に事業を拡大している株式会社デジタリフトのみなさんにお話を伺いました!

この記事で得られる学び

  • サテライトオフィスは「リスク分散」と「能力の発掘」に有効
  • 課題解決には「最適なツールの使用」「コミュニケーション方法の変化」が不可欠

1. オンラインコミュニケーションが鍵、デジタリフト流広告運用術

クライアントの課題解決を模索し続け奔走するマーケティングカンパニー「デジタリフト」。SDGsの視点から地方創生を推進し、宮崎県に拠点を設けるなど、全国に事業を拡大しています。広告運用で成長を続ける彼らは、どのように成果を上げるのか? その鍵が「オンラインコミュニケーション」だと言います。場所や時間の制約が緩和され、社内外でコミュニケーションが容易になりましたが、どのように情報連携を図り広告運用における利益最大化を実現させたのでしょうか。

2.登壇者紹介

株式会社 デジタリフト DIGITALIFT Inc.


株式会社 デジタリフト DIGITALIFT Inc.
取締役
鹿熊 亮甫(カクマ リョウスケ) 氏

学生時代からIT企業に参画し、事業立ち上げを経験。現在は、DIGITALIFT取締役。
コンサルティング部門、ソリューション部門、クリエイティブ部門。東京・千葉・宮崎の各拠点の全体統括を担当。
鹿熊 亮甫氏


マネージャー
野津手 俊幸(ノツテ トシユキ) 氏

大阪にてPCスクールの講師、ホテルのホームページ運営・管理を経験した後、宮崎へ移住。
その後、2社の広告代理店にてWeb広告運用を経験して、デジタリフトへ入社。
現在は宮崎オフィスのマネージャーを担当。
野津手 俊幸氏


クリエイティブディレクター
安田 早智子(ヤスダ サチコ) 氏

大手レコード会社のデジタルマーケティング部門にて、クリエイティブ制作やSNS運用などを経験した後、デジタリフトへ入社。現在はWeb広告全般のクリエイティブ制作や、大型案件の制作進行管理を担当。
安田 早智子氏

3.セッション

“CdMO”の役割を担うデジタリフト

鹿熊 デジタリフトは2012年に設立した10期目の会社で、西麻布に本社、千葉と宮崎に支社があります。やりたいことは、「ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)をデジタル技術で最適化する」こと。広告だけでなく、LP、お客様が商品を注文して決済すること、発送されて商品が届くまでなど、全体の行程を最適化することが僕たちの仕事です。

CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー、マーケティング最高責任者)という役職がありますが、テレビCM、街中の交通広告、デジタル広告、ランディングページ制作、開発などに携わる、非常に仕事領域が幅広くて大変な仕事ですよね。

その中でも、弊社はデジタル的な部分にフォーカスして、クライアントに対して「広告運用に限らず、総合的なデジタルマーケティングを展開していく」役割を、CdMO(チーフ・デジタル・マーケティング・オフィサー)と定義し、そこを担っていこうと考えています。

サテライトオフィスは「リスク分散」と「能力の発掘」に有効

――西麻布に本社を置きながら、千葉と宮崎に拠点をもつデジタリフト。そもそも、サテライトオフィスを設けたきっかけは?

鹿熊 サテライトオフィスを作ったのは2019年、まだ本格的なコロナ禍に入っていないときでした。目的の一つめは「リスク分散」。例えば大きな地震や災害が起きたときに、インターネットシステムは生きていても、東京は通勤ができない、オフィスが稼働できないっていう状況もゼロではないのかなと。そういう時、ほかの拠点があれば稼働できると思いました。

目的の二つめは、「地方で才能、能力のある人を見つけること」。せっかくスキルを持っているのに、結婚してパートナーの都合で引っ越して東京では働けないということが多々あるかと思いますが、もったいないですよね。各地にサテライトオフィスがあることで、そういった方とも一緒に仕事をしていくことができるのではと考えました。

野津手 なかでも、あえて宮崎にオフィスを設けたのは、特にIT企業の誘致に力を入れている県だったんです。宮崎オフィスの開設についても、時間がないなか社長自らが物件探しに奔走し、また私はオフィス設備やPC設定、ネット回線の問い合わせなどを5日間くらいで準備してなんとか立ち上げたのは、いい思い出です。

――今後もサテライトオフィスを増やしていく予定はある?

鹿熊 そうですね、たくさん増やしたいです。拠点を作ればいいという話ではないですが、会社をどんどん大きくしていきたいときに、東京だけでやっていくよりは全国に視野を広げたほうが、可能性がたくさん生まれると思います。

遠隔地でもスムーズな「コミュニケーションのコツ」

――コミュニケーションツールは何を利用されていますか?

鹿熊 Slackがメインで、電話もSlackの機能を使うことが多いです。ミーティングはGoogle Meetsを使うことが多いです。

チャットツールってLINE WORKS、Chat Wokrs、メッセンジャーなどいっぱいありますが、分散すると仕事の効率が悪くなるので統一しています。お客様とのコミュニケーションもSlackでなるべくお願いするようにしたり、ミーティングはGoogleカレンダーからそのまま招待できるので、ZOOMよりもGoogle Meetsを使ったり。そういうふうに、使うべきツールをちゃんと決めて、増やしすぎないようにするのがおすすめです。

安田 Slackのスタンプはたくさん増やしましたよね。文字ベースのやりとりだと、どうしても感情がわかりにくく、句読点ひとつだと相手によっては冷たく感じてしまうので、気楽に温度感がわかるようにと、「ウケる」とか「神すぎる」とか「センス鬼」だとか(笑)、LINEスタンプのような感覚で使えるものを作りました。チャッティなスタンプがあるだけでちょっと打ち解けられて、業務が円滑に回っている気がします。

鹿熊 スタンプさまさまです。デフォルトスタンプって、結構使いにくいものが多いんですよね。「了解」ってシンプルなスタンプを返されるよりも、「わかりました!!」っていうポップなスタンプを返してもらったほうが、こちらとしても気持ちがいい。

安田 あとコミュニケーションでいうと、Slackでクリエイティブの雑談部屋を作っています。数名が参加する敷居の低い小さいコミュニティで、インスタグラムのストーリーズのような感覚で、個人のつぶやきや発見を共有します。特にデジタル広告はみんな普段表示されているものが全く違うので、それを共有してもらえるのもとても有意義です。

コロナ禍での働き方の変化

――コロナ禍前と後で働き方は変わりましたか?

鹿熊 コロナ禍に入る前にサテライトオフィスを作っていたので、働き方は特に変わらなかったのが正直なところです。今でこそ、どの会社にも会議室にリモート用の設備があるのは当たり前だと思いますが、それも元からそろえていたので、コロナ禍での移行ハードルは低かった。

安田 個人的には、デザイナーとしてコミュニケーションの前提は「人に会うこと」という認識でいたのが、在宅ワークを取り入れるようになって、オンラインでも深いコミュニケーションができるという発見をしました。
リモートワークのための環境を整えておくことで、例えば積雪で出社が難しくなったときであっても、自分のいつものパフォーマンスで働ける時間が増えたのがとても大きな変化だったと思います。

――在宅勤務と出社の割合は変わった?

安田 まん防など感染対策の状況にもよりますが、今は3分の1から半分くらいが出社していて、案件に応じて柔軟に対応しているようです。

鹿熊 現在はまん防期間中なので、出社か在宅か選べる環境になっています。半数くらいは出社しています。人によって好きな働き方は違うと思うし、タイミングやクライアントの状況によっても変わってくると思うので、そこには個性が出ますね。誰しもリモートワークがいいと思っているわけではないと思うので、その状況のなかでどちらがいいか選択をしていると思います。

課題解決には「最適なツールの使用」「コミュニケーション方法の変化」が不可欠

――リモートワークによって社内で困ったことは?

安田 デザインのフィードバックには苦労しました。出社時は口頭で顔を合わせて行っていたことが、在宅で文字ベースのやりとりになり、効率が悪くてニュアンスも伝わりづらく。その不便さを解決するために、今はSlackの電話機能を使い、画面共有もしてやりとりすることで、出社時に近い状況を作ることにしました。Slackの電話にしても、最初は「何時だと電話して良いですか」と聞いたりとハードルが高かったのですが、それも廃止して、今は電話をしたいときに自由にかけてもらうことで、かなりやりやすくなりました。

鹿熊 マネジメントも、在宅ワークの課題ですよね。対面で見ている場合とオンラインで見ている場合って、やっぱり見える範囲が狭まる。今まで一人で五~十人を見られたのが、今は3分の2か半分しか見られない。そのため、マネジメントできる中間層の役職を増やしたりしました。そう割り切っていかないと、マネジメントも大変になってしまいます。

――リモートワークによって社外で困ったことは?

鹿熊 直接会っていた頃と比べると、熱量みたいなものは伝わりにくいと思います。その場で話したり、ご飯に行ったりでできていたコミュニケーションがなくなり、チャットなどでのコミュニケーションが中心になるので、そのまま仕事をしちゃうとドライな関係になりやすいと感じます。

自分から働きかけるような、お客様のために頑張るんだっていうスタンスをしっかり出して、コミュニケーションして感じてもらえるように努力していかないと、案件が続かないとか、失注につながるのではと思います。

野津手 私が担当している東京拠点のお客様は、月に一度私が宮崎から東京に出張してミーティングをしていましたが、コロナ禍になって月一の移動が難しくなり、リモート会議に移行することになりましたが、先方の上役はやったことがなく、どうするんだとなって。

それで手始めに、そのお客様の一部の方とは既にちょっとしたやりとりも電話、チャットワークやZOOMを使用していたので、そのやりとりを皆にオープンに見せ始めました。こうやって簡単にできますと外堀を埋めていき、全員が参加しやすい環境づくりを少しずつ用意していって、大きなストレスなく移行できました。今では月一回のミーティングは完全にリモートで行っています。

また、コロナ禍以前は、出社していれば東京オフィスとのやりとりを小耳に挟んだり、ちょっとした声掛けなんかで状況や雰囲気がなんとなく把握できたりしていましたが、在宅だとそれがわからず、不便さを感じましたね。今は、Slackの使用がより活発になったことで、どんなやりとりをしているか見るとわかるようになりました。

一緒に仕事をする方々が離れていることが大前提で仕事をしているので、当たり前ですが「相手を思いやる心」に重きを置いています。相手がどういう仕事をしているのか、どう動いているのかを見る。Slackを見てわかることがあれば、依頼が来る前に業務に関することを調べたりして準備しておきます。

安田 デザイナーも、今は一度も直接会ったことのないクライアントさんとも仕事をしている状況。日常的に自社商材のことを考えている人たちと同じ土俵に立つには、サービスや商材を「自分ごと」化してリサーチして、魅力的なアイデアを出せるかが重要です。

オンラインだと、相手に信頼してもらう手段がひとつ減ったような感覚。なので、先の戦略やビジョンをしっかり見せて、これだけ私も一緒になって考えていますと伝えて信頼関係を築いてこそ、クリエイティブもいいものが作れると思います。

また、オンラインって便利ですけれど、全員がそう感じているとは思わないようにしています。出社の人も多くいますし、在宅環境も違うし。オンラインミーティングの時は、自分の映像や音声がみなさんに滞りや不快なく届いているかも注意します。クライアントだとそういったことはなおさら指摘しづらいので。

4.質問コーナー

参加者の方から事前にいただいた質問に回答していただきました。

Q.「在宅勤務で気持ちよく協力し合い効率的に働くために、どのようなコミュニケーションをとっているのですか?」


安田 雑談を意識的にとるようにしています。在宅ワークを取り入れるようにしてから気づいたのですが、出社していた頃は、私の仕事はコミュニケーションを発端に生まれることが多かった。メンバーの気づきやアイデア、何気なく話したことから、おもしろいからやってみよう、と仕事につながっていったことが多々あって。自分が気楽に話しかけやすい人になることで、些細なことでもキャッチアップできるのかなと。気楽に話せれば信頼関係も強固になるので仕事の効率もあがりますし、その心がけは在宅、出社に関係なく築くべきかなと思います。

5.まとめ

コロナ禍に入る前からサテライトオフィスの有用性に気づいてリモートの環境づくりをしていたことで、世の中のさまざまな変化にすぐに対応できた株式会社デジタリフト。しかし、最新のツールを使って効率的に仕事をしていても、結局大切なのは対人と同じ温かみ、思いやりというのが印象的でした。

お問い合わせ

株式会社クリーク・アンド・リバー社  セミナー担当
Email:webinar_cr@hq.cri.co.jp

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