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テレビ東京『YOUは何しに日本へ?』プロデューサー水野 亮太さん

日本を訪れる外国人たちに直撃&密着するドキュメントバラエティ『YOUは何しに日本へ?』(毎週月曜夜6時57分~)。同番組で、ディレクターを経て、現在はプロデューサーとして活躍する水野 亮太さんに、空港でのガチンコ取材の模様や、テレビマンとしての想いなど…お話を伺いました。

 

■ “普通では見ることができないものを見せる”テレビの本質

テレビの仕事を目指したいと思ったきっかけは、昔見た、エベレストからの生中継です。人や技術の力を集結して”普通では見ることができないものを見せる”ことにテレビの本質を見たように思って、改めてすごいと感激しました。僕も普通では体験できないようなところを取材して、みなさんに伝える仕事ができたらと思うようになったので、自分の中でスタートラインのように印象に残っています。

そしてテレビ東京に入社以来11年余、ずっと制作の現場に携わっています。現場で取材を重ねていくと、様々な職業を疑似体験しているような感覚がありますね。基本、普通の職業はその仕事に対してプロフェッショナルであることが求められます。もちろん、テレビの仕事でも、それに対してのプロフェッショナルというのはありますが、取材をする時は取材対象についても、ある程度の知識が求められますし、その現場で働く人たちの気持ちを聞くこともあるので、いろいろな仕事を体験できるような面白味を感じています。

 

■ 取材現場は、まさにガチンコ

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現在、関わっている『YOUは何しに日本へ?』でも、ガチンコで密着するYOU(番組では、登場する外国人の方々をYOUと呼んでいます)たちの目線を通して、新たなものの見方が生まれたり、影響を受けたりすることがあります。

『YOUは何しに日本へ?』の取材現場は、まさにガチンコですね。現在、4つの制作チームあって、基本的には朝の9時から夕方の5時まで空港で取材をします。その場でどのように取材するかはディレクターによって違って、片っ端から声をかけていくディレクターもいれば、逆にこの人なら面白そうだという人に絞って声をかけるディレクターもいます。どれだけ多くても1日で声をかけられるのは40人くらいで、その中で密着OKが1組いれば良い方ですね。1日声をかけ続けても、1組も出てもらえない時もありますし、やっと密着OKかと思ったら連絡が途絶えたりすることもあります。

でも、それはそれでこの番組のリアル感というか、そこも包み隠さずお伝えしていくのも面白さの一つなので「何でだよ!」とは思いますけど(笑)自ら空港で声をかけていたディレクター時代は、YOUに翻弄されている部分を自分でも楽しんでいたかもしれません。

 

■ ディレクターとプロデューサー、それぞれの立場での番組への関わり

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ディレクター時代、空港などで取材をする時に留意していたのは、まず番組の本質にあたる部分を聞き逃さないようにすることです。日本に興味を持って来てくれたYOUたちが何をしに来たか探るのが番組の趣旨なので、そこは聞き逃さないように、そしてその後の密着を想定して、見ている人にとっても「この人について行ったら面白そうだな」と思える部分をインタビューの中でどれだけ引き出せるかに気を配って聞いていました。

そのインタビューのやり方にしても、ディレクターのさじ加減が直球で出てくる番組なので、やりがいも大きく、テレビはやっぱり現場が楽しいと実感していましたね。

ただ、プロデューサーになると、また違った視点での楽しみがあります。4つの制作チームそれぞれが撮ってきた素材をプレビューしたりチェックしたりするのが、ほぼメインの仕事なので、1つのチームに関わっていただけでは見えない部分が見えてきます。『YOUは何しに日本へ?』という1つの番組ですが、各チームでディレクターも方針も違うので、それぞれの色があります。このタイプのYOUはあるチームでは密着しないかもしれないけれど、他のチームでは取材して面白いものに仕上げるな、と。そういう各チームの色を見た上で番組全体をどう盛り上げるか考えるのは、プロデューサーの醍醐味かもしれません。

 

■ 「ハンコを作りに来た」イケメンのフランス人YOUに密着してみると…

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番組には、これまで様々なYOUが登場しました。たくさんの密着VTRを放送してきた中で、僕にとって特に印象に残っているのは、フランス人のイケメンモデル、ロマさんです。「ハンコを作りに来た」というロマさんは、日本人にとっては持っていて当たり前のハンコについて、どれだけ素晴らしいものかを熱く語った上で、そのハンコを作りに行くだけでワクワクドキドキさせてくれるんです。

それを見ていると、日本人にとって普通のものであるハンコが特別なものに見えてきて、最終的に自分でも素敵なハンコを作りたくなっちゃうんです(笑)それがある意味、この番組らしさなのかなと。

普通、ハンコを作るだけで15分、20分のVTRをゴールデンで放送するような番組ないですよね(笑)それを、YOUが関わっていることで新たな視点が見出されるのは面白いと思います。YOUの行動による想定外をどう番組としてまとめていくかはディレクターの醍醐味でもありますが、そういう意味では台本や構成に頼る今までのバラエティーとは違う作り手としての楽しみ、力量も発揮できる番組だと思います。

 

■ 自分なりの意見やベクトル、方向性を土台に

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2013年4月に番組がゴールデンタイムに移行したあたりから、いくつかの新コーナーもスタートさせていますが、もともとの深夜時代から続いていた番組の根幹は変えないで、どうやったら新企画ができるかという考え方をしています。空港で、どんなYOUに出会えるのかというガチンコ感と、密着してからも連絡が取れなくなるかもしれないし、どこに行くかも分からない制作現場のヒリヒリ感…追い詰められつつ、最善のものを生み出していく感じを残した上でのコーナーでないと番組で放送する意味はないと思っています。

制作現場は、やはり時間的にもタイトで追い立てられることも多いので、これから映像制作に携わりたいという人には、現場に来る前に、自分なりの意見やベクトル、方向性を見つけておいて欲しいと思います。

クリエイターを目指す上で自分が好きなものについて、とことん突き詰めるというか…テレビ番組が作りたいのなら目が腐るほどテレビを見て欲しいし、テレビ以外のインプットをどう増やしていくかも重要な要素だと思います。現場に来て、そういう部分に時間を割くことが難しいほどの忙しさを経験しても、その蓄積を土台に乗り越えていけると思います。

あと、現場には職人肌な人も多いので、仕事を丁寧に教えてくれるわけでもないし、そこから自分で技を盗んでいかないと大成しない部分があります。自分の中で映像制作に関わるという意味での根幹を持っていないと、辛い仕事だと感じてしまう部分が大きいと思うので、その土台をしっかり醸成しておいた方が、この仕事でやりたいことを成し遂げるためのモチベーションになっていくと思いますね。


 

■ 番組情報

『YOUは何しに日本へ?』

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テレビ東京系列 毎週月曜夜6時57分放送
MC:バナナマン

■ オフィシャルサイト

http://www.tv-tokyo.co.jp/youhananishini/

(2015年3月25日更新)

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水野 亮太(みずの・りょうた)

1980年、北海道生まれ。
慶應義塾大学環境情報学部卒業。2004年、テレビ東京入社。
以来バラエティ番組の制作を担当。ディレクターとして「田舎に泊まろう!」「ゴッドタン」などに携わり、現在は「YOUは何しに日本へ?」「隅田川花火大会」「有吉のバカだけど…ニュースはじめました」などを制作している。

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