日本でも耳にする機会が増えてきた「インディーゲーム」。近年はスマートフォンのアプリなどが身近で、ゲーム好きはもちろん、ゲームに詳しくなくてもインディーゲームに触れることも多くなってきています。
この記事ではインディーゲームに関わる仕事をしたいと考えている方のために、制作方法や費用、インディーゲームに関する求人についてわかりやすくご紹介します。
「インディーゲーム」はIndependent gameの略で、企業に属さず個人または少人数のクリエイターで開発されたゲームを指します。自作ゲームや同人ゲームなどもインディーゲームに含まれますが、一概に定義することは難しいと言えます。
インディーゲーム開発者向けコンサルティング会社・株式会社ヘッドハイ代表取締役の一条貴彰氏は「2018年の日本のインディーゲームをとりまく状況」にて以下2点をインディーゲームの定義として挙げています。
高いコストをかけて大人数で開発するビッグタイトルとは逆に、小規模でつくられたインディーゲームの価格は1,000〜3,000円と安価なのが特徴です。大手ゲーム開発企業が手がける商業向けゲームや家庭用ゲームと同じように一般のゲーム市場に流通していますが、販売会社と契約をせずにダウンロード配信での販売をメインの流通ルートとしています。
インディーゲームを配信するダウンロード販売ストアには、海外の「Steam」、日本の「PLAYISM」「Degica」などがあります。
1990年代後半ごろ「同人ゲーム」と呼ばれる個人や少人数で開発されたゲームが台頭したことが「インディーゲーム」発展のきっかけです。2000年代になるとFlashゲームが流行し、フリーゲームが登場。この流れに乗って「インディーゲーム」が加わりました。
2010年以降ではインディーゲームの人気が加速。代表的な作品には『マインクラフト』(2019年5月時点での月間アクティブユーザー:1億1200万人)や『PUBG』が挙げられます。
ソニーのハード機PS2~3が発売された2000年以降、ゲーム開発費は高騰していました。そこにゲーム販売チャネルApp StoreやSteamが登場し、販売会社を通さずとも低価格でおもしろいゲームが売れる流れが生まれたことが日本におけるインディーゲームの始まりとされています。
インディーゲームが発展した背景には以下2つが挙げられます。
インターネットの普及により、クリエイター個人がつくったゲームがオンラインで売り出せる時代になったことで、ビッグタイトルにも負けない売上を出せるインディーゲームがメインストリームに登場するようになりました。
通常、ゲーム開発ではプログラミングと専門知識が求められます。しかしインディーゲーム開発では、絶対に必要となるスキルや経験はとくにありません。プログラミング言語を使わずにゲームを作ることができるツールがあるからです。
インディーゲームの開発エンジンで、特に人気が高く有名なのが総合開発エンジン「Unity」です。
このエンジンで開発されたタイトルにはアプリゲームの「白猫プロジェクト」、LINEの「ポコパン」などがあります。
マルチプラットフォーム対応のUnityは、専門知識がない素人でもゲーム開発ができる優れものですが、実際に使って動かしながら、勉強していく方法がおすすめです。また、英語を話すことができれば、日本だけでなく世界を市場にできるので有利になるでしょう。
Unityについてさらに詳しく知りたい方は「CREATIVE VILLAGE」で公開している次の記事をぜひ参考にしてみてください。
インディーゲームを作るのにかかる期間は、どのような作品を開発するかによって大きく異なります。初めて作るのであれば、当初の見積もりを大幅に超えてしまうことも考えられるでしょう。また個人開発か、企業開発かによってコストは大きく異なります。
ゲーム開発にあたり、キャッシュフロー管理とスケジュール管理の能力が必要です。未経験者であれば、ゲーム開発に必要な金額やスケジュールの予想ができません。副業で開発する場合は、本業の影響で開発の時間が取れずに制作スケジュールが超過してしまったり、キャラクターデザインにこだわるあまり手元の資金が足りなくなることもあります。
ゲームの制作時間は「プレイ時間×100時間」ほどと言われているため、もし1時間ほどでクリアできるゲームを作ろうとするならば、普通に制作しても100時間はかかる計算です。
費用もクオリティーなどによって差があり、全くお金をかけない場合や数千円しかかからない場合もありますが、外注してキャラクターデザインやBGMを制作する場合は、外注費が予算に上乗せされます。そのためおおよそ数十万円~数百万円以上の費用が必要になることがあります。
インディーゲーム開発を目指しているクリエイターは、イベントに足を運んで著名なクリエイターの開発秘話を聞いたり、新しいゲームを体験してインディーゲームのトレンドに触れてみたりすることをおすすめします。アウトプットばかりではクリエイターはおもしろいゲームを生み出すことはできません。常に新しい情報やトレンドをインプットしてこそ、ゲームユーザーの琴線に触れるインディーゲームを世に出すことができるのです。
最近では、日本でもインディーゲームのイベントが多く開催されています。いくつかイベントをご紹介します。
イベント名 | BitSummit |
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特徴 | 来場者数1万1千人を超える日本最大級のインディーゲームイベント |
実施頻度 | 1年1回 |
公式サイト | https://bitsummit.org/ja/ |
イベント名 | TokyoIndies |
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特徴 | インディー、同人、学生、プロ、職種不問。ゲームを作っている、もしくは興味がある人が気軽に参加できる |
実施頻度 | 月1回 |
公式サイト | https://www.tokyoindies.com/ |
インディーゲームを開発・制作している会社やタイトルを販売しているゲームパブリッシャーなどでは、インディーゲームに深く関わって働くことができます。もちろん、個人で作ったインディーゲームでしっかりと収益を出すことができれば、フリーランスのクリエイターとして独立することも可能です。しかし、個人のゲーム開発で収益を得ることはかなり難しいでしょう。
「CREATIVE VILLAGE」にて取材させていただいた『被虐のノエル』作者・カナヲさんのように個人制作のゲームがノベル化・ドラマCD化されることでさらなる収益化が可能になるかもしれません。
将来的にクリエイターとしてインディーゲームに携わりたい場合、ゲーム制作会社に勤めてゲーム開発のスキルを獲得することもひとつの方法です。該当職種には、プランナー、プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニアとさまざま。
以下でプランナー求人の一部を「クリエイター向け求人情報サイトCREATIVE JOB」からご紹介します。
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国内はもちろん、海外でもますます注目されているインディーゲーム。任天堂やコナミといった大手ゲームメーカーも、インディーゲーム市場に参加し世界的にヒットするタイトルを生み出そうと開発に力を入れています。
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