SNSやメディアのプラットフォームが発展した現代では、個人のクリエイターが自ら情報発信することが当たり前になりつつあります。また、それらの情報発信は単にTwitterなどでつぶやくなどの「発信」を目的にしているのではなく、「収益化」を目指した動きが増えてきている点には注目です。いわゆる「クリエイターエコノミー」(個人のクリエイターが自らの表現で収入を得ることにより形成された経済圏)の時代が到来しており、顧客から依頼を受けて報酬を得るスタイル以外でも、収益化を実現できるようになりました。

クリエイターの中でインスピレーションやテイストが重要になるイラストレーターは、どんな情報発信をすべきなのでしょうか。SNSだけでいいのか、ブログやYouTubeにも注力すべきなのか。その選択は4年以上のキャリアがあるイラストレーターの方でも悩むかもしれません。イラストレーターが自身の表現や情報発信で収益化を果たすために活用すべきメディアを検証します。

noteの浸透でクリエイターエコノミーが拡大

クリエイターエコノミー_ブログのイメージ

クリエイターエコノミーの視点で考えた際に、パイオニア的な存在として脚光を浴びているのが「note」というプラットフォームです。noteはクリエイターが文章や画像、音声、動画を投稿して、ユーザーがそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアであり、2014年4月にサービス開始から8年を迎えました。クリエイターはアーティストや作家、芸能人、子ども、学生、ビジネスマン、シニア、自治体、法人など多岐にわたります。
他のブログとの差別化ポイントは、自分自身の経験やノウハウを手軽に共有できる場となったことです。これまで発信先を見出せないクリエイターの心をつかみ、一気に会員数を増やしました。2022年4月に会員数は500万人を突破。前年比30%増という成長率だけに、今後もさらに伸び続けるメディアだと予想されます。ただ、noteが評価されている本質的な部分は、「noteで収入を得ているクリエイター」が多いこと。実に10万人以上が収益化を実現しており、クリエイターエコノミーの先駆け的存在なのです。

クリエイターエコノミー_noteで収益を得ているクリエイター
出典:note株式会社「プレスリリース note会員数が500万人を突破!」

また、年間売上トップ10入りを果たしているクリエイターの平均収入は667万円であり、個人での情報発信を通して生計を立てているケースが増加傾向にあります。中には累計売上が1億円を超えたハイクラスなクリエイターも、2022年3月末日時点で28人いました。
売上を伸ばすクリエイターを支えるのが、作品や情報を購入するユーザーの存在です。多様なコンテンツから好みの作品を購入するユーザーは、2017年と2021年の5年間で30倍に急増しています。購入するユーザーが「note」の有料コンテンツに費やす1ヶ月の平均金額が2,300円、さらにクリエイターをサポートするユーザーも増えています。こうした土壌が醸成されているnoteは、自らが情報発信をして収益を得るクリエイターエコノミーが拡大する中で、さらに強力なプラットフォームとなるでしょう。

イラストレーターのSNS発信はお金になる?ならない?

クリエイターエコノミー_SNS発信のイメージ

イラストレーターは自身の存在や作品を広く知ってもらうために、TwitterやInstagramなどのSNSで熱心に情報発信をしているケースが多いでしょう。しかし、SNSのユーザーが増えている昨今において、情報が乱立しやすく、自身の投稿から顧客に直接的にリーチするケースは稀だと言えます。ではイラストレーターのSNS戦略においてはどんなことを意識すべきでしょうか。

あくまでSNSではファン化を目指した戦略を

イラストレーターであれば、仕事の受注を狙った投稿よりも、SNSで自身のイラストの世界観を知ってもらうなどのファン化に根差した投稿を行うことが先決です。たとえば、自身のポートフォリオや個人イラストサイトをビジネス向けにしっかりと作り込んで、SNSのプロフィール欄に載せておくことで仕事につながる可能性が増えます。Twitterの投稿では、案件を募集するのではなくイラストレーターとしての自らのスキルやノウハウを発信し、「このイラストレーターは仕事ができそうだ」と存在に気づいてもらうことを意識しましょう。
一方でイラストレーターとしての描写の上達方法などは、ありきたりな内容なので、あくまでも自分独自のスキルや強みなどを発信することが大切です。これまでの経験、トレンド情報に連動させた自身の意見など、他のイラストレーターの投稿に埋もれないような発信を心がけましょう。

情報発信に使うSNSはTwitterを最優先

イラストレーターがSNSを使う際は、Twitterがおすすめです。Twitterはユーザー数が多く、140字以内のテキストでの投稿も簡潔であり、情報発信のしやすい点でのメリットがあります。さらに、Twitterにはアニメ好きやアイドル好きなどのいわゆるサブカル好きが集まりやすい傾向にあります。イラストレーターであれば、定期的に作品を公開する場として活用することでファン獲得が期待できるでしょう。
Instagramの運用も有効ですが、Twitterも含めて複数のアカウントを運用する際は、メインアカウントを決めることをおすすめします。そして、それぞれのアカウントを行き来できるように連携させておくことで、複合的にフォロワーやファンを増やせる可能性が高まります。メインアカウント以外は更新頻度を決めて、運用が煩雑にならないよう意識することも重要です。

収益化においては発信メディアごとの戦略立案を

クリエイターエコノミー_収益化戦略

SNSでの作品の紹介や情報発信、ブログやnoteの運用など、イラストレーターであれば全般的に取り組みたいところです。しかし、戦略を十分に検討しなければ、どれも収益化につながらない恐れがあります。そのため、それぞれのプラットフォーム(メディア)ごとに戦略を立てることが大事です。

イラストレーターが意識しておきたい発信メディアでの情報の棲み分け

メディアごとの戦略としてまず考えるべきが、発信情報の棲み分けです。「SNSではファン化を目指して自身の作品の世界観だけを情報発信していく」「noteはコンテンツを有料化して、SNSで伝えきれない世界観の裏側を解説した記事を投稿する」など、それぞれのメディアでのコンセプトを明確にしましょう。
他にも最近ではさまざまなプラットフォームがあり収益化が可能です。ストックイラストに自身のイラストを投稿してユーザーに購入してもらう方法があります。SNSやブログなどからストックイラストで更新したイラストにアクセスできるようにするなどの方法も考えられます。また、LINEクリエイターズスタンプへの投稿なども収益化する方法の1つです。さらに、YouTubeへの動画投稿では広告収入が期待できます。クラウドソーシングサービスでは、自分のスキルを販売することもできるので、イラストレーターが収益化に取り組む方法は多岐にわたります。

集客メディアと収益メディアを明確に分けた戦略立案を

イラストレーターは、集客メディア(ファン化)としてTwitter、収益メディア(収益化)としてnoteなど、それぞれの役割を考えたうえでの戦略立案を綿密に行うことが大切です。収益化の体制を自ら構築できれば、どんどんと収入を増やせるハイクラスなクリエイターへの道も開けるかもしれません。クリエイターエコノミーを実現するためには、単なる発信から戦略的なメディア利用を意識すべきでしょう。

イラストレーターの収益化は戦略が鍵を握る

クリエイターエコノミー_まとめ

【イラストレーター クリエイターエコノミーのまとめ】

  • クリエイターエコノミーは右肩上がりの成長予測
  • SNS発信は基本だが、あくまでファン化がメイン
  • 収益化を目指すうえでは戦略的なメディア利用が必須

クリエイターエコノミーは、1999年の無料ブログサービス「Blogger」、2005年の「YouTube」、2010年の「Instagram」の登場によって発達し続けてきました。そして、近年では「note」の登場によってクリエイターエコノミーの市場規模は右肩上がりの成長が予測されます。
SNSのユーザーも増加しているため、イラストレーターも投稿に注力していることでしょう。SNSでの情報発信は基本ではあるものの、その目的はあくまでもファン化をメインにしましょう。SNSでは作品の世界観、noteやブログではその裏側を発信するなど、メディアごとに戦略を考えることが必須です。戦略が確立されると収益化につながり、イラストレーターとして作品の創出に充てられる時間も増えるでしょう。イラストレーターの情報発信について、ご自身の方向性を再検討してみてはいかがでしょうか。