「Web制作のスキルは身につけたが、現場で通用するか不安。」
「どうやって実績を増やしていくのだろう。」
「制作案件はどんなふうにスタートするのかな?」

そうしたお悩みを解決すべく、C&R社イベント「未経験からWebデザイナーになるには」に Web制作の現場で活躍を続けている内田祐生さんが登壇。「案件の始まり方や制作にまつわる費用、必要なコスト意識について教えていただきました。

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記事で得られる学び

  • 案件のスタートまでがわかる
  • 仕事の規模感や金額がつかめる
  • 案件内容と制作者の関係が意識できる

講座概要

Web制作の依頼から制作に至るまでを、内田さんが現場目線で解説。案件が生まれる過程をお話しいただいた後、業務で必要となるコスト意識に触れながら、クライアントの金銭感覚や実際の費用についてレクチャーしていただきました。

登壇者紹介

内田 祐生(うちだ さちお)氏
design fleet inc. 代表取締役/ディレクター、デザイナー、ライター、インストラクター

1969年東京都大田区生まれ。神奈川県横浜市在住。
大学は文学部国文学科へ進み、近代文学を専攻。在学中、出版や編集への興味からエディトリアルデザインへの興味が強くなり、後に専門学校でデザインを学ぶ。DTP制作会社から雑誌出版社編集部を経て、1999年にデザイン事務所のdesign fleet inc./有限会社デザインフリートを開業。
現在はデザイン(印刷/Web)のディレクションや制作、執筆活動の他、クリエイティブ系の専門学校で講師も務める。

design fleet inc. 代表取締役 内田 祐生氏

どのように案件が始まるのか

案件は日々のやりとりから生まれる

まず、現場でどのようにWeb制作案件が始まっているのかをお話ししましょう。

かたちとしては、「Webサイトを作りたい」「リニューアルしたい」というニーズがあり、そこに会社や自分がマッチすると受注できます。

ところが、話が出てから実際の案件にならないものも意外に多い。あの件はどうなったかな?ということがよくあります。
そのため、自分で案件の種を蒔きます。ちょっとした相談にのるなど普段からやりとりしておいて、その一部が案件になっているのです。

案件がやってくるルート

制作会社であれば、営業が相談をもらうのが一般的です。また、宣伝メールやホームページから問い合わせをもらう場合や、経営者が知人や縁故から相談を受けるケースもあります。

別の仕事をして受注につながるのもよくあるパターン。例えば、紙媒体にかかわってWeb制作へ広がることがあります。

フリーランスの場合は、案件のどこに特化するかで受注のしかたが変わります。
プログラミングであれば、システム部分で相談を受けることが多いでしょう。デザイナーは案件全体として話をもらい、プログラミングやアプリ開発者と組んで受注するかたちがほとんどです。
最近では、クラウドソーシングで仕事の一部を受注するスタイルも出てきました。続けて利用するかは考え方によるようです。

また、個人で活動しても、別案件からWeb制作につながるパターンは同じです。友人などからの相談は、トラブルが発生しやすいので注意してください。

クライアントの金銭感覚に合わせた提案を

クライアントが気にするコスト

相談が案件になるかどうかは、実は「いくらかかるか」という費用が大きくかかわっています。
クライアントは当たり前ですがコストを気にしますし、費用対効果も常に考えます。話を進める際に、する・しないを判断する材料となるのが費用なのです。

こう聞くと、Webデザイナーだからお金は関係ない、苦手だと思う方もいるでしょう。しかし、お金は業務のあらゆるところに影響するので、コスト感を持つのは大事なスキルと覚えておいてくださいね。

クライアントによって払える金額は違う

案件の金額は、大企業なら数百万円や数千万円、商店などは数十万円と桁がひとつもふたつも違います。つまり、クライアントによってお金の感覚が異なるのです。

ですから、案件の費用を見積もるときは、クライアントの金銭感覚と相場を把握するのがポイント。どこにでも同じ金額で提案すると、商店などは「そんなに高いの?」と案件としてまとまりません。

事前に仕事の規模感をとらえておく

クライアントが普段扱う金額の規模感を知るには、ホームページでIR情報を見るとわかります。

例えば、最終的な利益である経常利益が114億円なら、年間114億円まではインターネットに使えると想像できます。これに対して、見積額があてはまっているかと考えてみるわけです。もしくは、販売費や広告宣伝費を使ってもよいでしょう。

また、業界によっては広告宣伝費の割合がネットなどで調べられます。例えば、金融業界は売上高の1〜5%、通販やサービス業界では15〜20%です。

クライアントが支払う費用とは

サーバ開設費用

Webサイトのためにサーバを用意する場合は、サーバサービスを利用します。シンプル格安なプランからサポートつきタイプまであるので、最適なものを選びます。

“.up”といったドメインが必要な場合も、ドメイン料が月々かかります。こちらは時価で上下しますが、それほど高くはありません。

近年ではWebサイトを“https”として暗号化して運用するため、暗号化通信に必要なSSL証明書の費用も発生します。料金は安全度に応じて変わります。

制作費の考え方

Webサイトを構築するにはWebデザイナーが必要です。規模が大きくなると、JavaScriptなどを作るコーダーという専門職が加わります。さらに、PHPなどサーバ関連のプログラミングにWebエンジニアも必要です。

案件により作業量は異なりますが、こうした人たちが無理なく仕事をする費用が制作費としてかかります。

算出方法はいろいろありますが、静止ページであれば、ページ単価にページ数をかけ算します。
必要に応じて画像やテキストを表示するCMSを使う場合は、ページ単価ではなくシステムを作る費用として算出します。

制作するための工数を使うやりかたもあります。その作業を単価いくらの人が延べ何人でやるのかという単位を「人工」(にんく)といいます。

また、制作費のほかに、サイトのコンセプトを作成する企画料や、営業費用のディレクション料が発生します。これらは、費用全体の数%として算出するケースもあります。

案件の規模や金額には開きがある

Web制作の費用は受注側によって算出方法が異なり、事実上は業界標準がない状態です。案件が受注できるかどうかは、クライアントの状況や経営者の判断によるところが大きいといえるでしょう。

実際に、一口にWeb制作案件費といっても、数十万円から数百万円の開きがあります。ニュースになるような特殊な案件では、数千万円、数億円に達するものも存在します。

クライアントと制作者のマッチング

マッチングには系統がある

業務を進める上では、依頼内容と制作者の得意分野が噛み合っていることがベスト。そうでないと、クライアントは要求を満たしてもらえない、制作側は無理を言われるとお互いに不満を感じてしまいます。

最後に、こうしたマッチングの系統について説明しましょう。

一般的Webデザイン案件は、Webサイト制作やシステム開発会社へ発注されます。解析やSNS対策、広告が必要な場合は、コンサルティングやマーケティング会社、広告代理店も発注の対象になります。

ブランドサイトといったイメージ中心にする場合はデザイン会社が選ばれるでしょうし、eコーマスサイトなどシステムが重要であればシステムが得意な会社へ発注されるでしょう。

質問コーナー

Q.Web業界の年齢層は?

20代から30代の方が制作業務を行い、経験を経てディレクションへ移ることが多いです。全く制作経験がない場合でも、ある程度の年齢の方が別の経験を活かしてWeb業界で活躍する例はあります。

Q.ワードプレスでテーマ作成できるPHPスキルを、どうすればポートフォリオでアピールできますか?

採用側がポートフォリオで知りたいのは、どの部分をどれくらい時間をかけてやったかです。そのため、Webサイトと、担当した範囲・所要期間をセットにしてアピールするとPHPスキルを想像してもらえます。

Q.Webサイト制作案件の単価は?そのうち何%がWebデザイン料でしょうか。

例えば、Webサイトリニューアル案件の場合、企業であれば1件あたり数百万円が多いです。美容院など商店は数十万円です。
ページ単価としては数万円ですが、金額全体の中でデザイン料が占める割合はケースバイケースです。

Q.40代で転職を希望していますが、やはり若い方が多い業界でしょうか。

Web業界全体としては、仕事内容からも若い方が多い印象です。しかし、40代の方がいないわけではありません。
最前線でのコーディングやデザイン業務よりも、幅広い意味での進行管理やマネジメントの立場であれば40代の方を多く見かけます。

まとめ

クリエイティブなWebデザインの仕事も、数々のステップを経て成り立っています。ぜひ、お金の面からもこうした業務を意識してみてください。