三浦大知の新曲「Polytope」のConceptual Filmが、Dentsu Lab TokyoとPERIMETRONのクリエイティブユニット・Margtによって制作された。本作は、2025年6月25日にリリースされたPlayStation 5用ゲーム『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の挿入歌として書き下ろされた楽曲をもとに、最新のテクノロジーとアートが融合した映像作品となっている。
Conceptual Filmでは、キネクトによるモーションキャプチャや画像生成AIを駆使し、人間の存在を超越した三浦大知のホログラムと、多面体のように複雑で謎めいた世界を表現した。映像は、「人と人との絆」「生と死の境界」「未知との対峙」といったテーマをミステリアスかつダークな世界観で描き出しており、視聴者を並行世界を旅する旅人の視点へと誘う。
この映像制作の根底にあるのは、「この世界はあまりに都合良くできすぎているのではないか」という問いから発展した仮説だ。科学界でも真剣に議論されている「多元宇宙(マルチバース)」の考え方に基づき、もし宇宙の物理定数や条件が異なっていたら、どのような世界が広がっていたのかという“if”の数々を、生成AIの力を借りて可視化。崩壊した都市や雷鳴轟く海、永遠に続く砂漠など、50を超える異なる世界が構築された。
また、三浦大知自身の姿も次元を超越した存在として登場し、現実と仮想の境界を曖昧にする表現がなされている。キネクトを用いて三浦と背景の樹海を別々に撮影・合成し、観る者に異世界的な印象を与える演出が施された。AIによって設計された世界観の構築には、Firstthingの中山雄之介氏が参加し、Dentsu Lab Tokyoの若手クリエイターたちと共に制作が進められた。
映像ディレクターにはMargtのIssa氏を迎え、VFXやホログラム合成などの専門家を含む制作陣が結集。視覚的にも思想的にも重層的なこの映像作品は、実写とAI生成映像が溶け合う“超多面体”のような仕上がりとなっている。映像作品はYouTube上で公開されており、今後も長く多くの人々に鑑賞されることが期待される。
「Polytope」は、プロデューサーNao’ymtによる詞と楽曲が特徴で、「循環する命と愛」というテーマを高尚なサウンドで描いた一曲である。英語詞と日本語詞を異なる人格として表現し、それぞれが朝日と夜の世界を語る構成となっており、愛を求めて宇宙をさまよう旅人たちの物語を幻想的に紡いでいる。
Dentsu Lab Tokyoは、「PLAYFUL SOLUTION」「おもいもよらない」を理念に掲げ、テクノロジーと創造力を用いた社会課題の解決と新たな表現手法の開発に取り組んでいる。今回の「Polytope」も、そんな彼らの挑戦が生んだ最先端のクリエイティブプロジェクトの一つといえるだろう。


