2025年第1四半期、ショートドラマアプリの世界市場がかつてない勢いで成長している。アプリ内課金(IAP)による収益は7億ドルに迫り、前年同期の約1億7,800万ドルから大きく跳ね上がった。累計収益も23億ドル目前に達しており、このジャンルのモバイル市場における存在感が急速に高まっている。

従来から人気を集める『ReelShort』や『DramaBox』が依然として市場をリードしているが、2024年下半期以降に登場した『DramaWave』『NetShort』『FlickReels』といった新興アプリが急速にシェアを拡大し、ランキング上位に食い込んでいる。特に『DramaWave』の勢いは突出しており、2025年第1四半期における世界のダウンロード数ランキングで2位に浮上した。

アプリのダウンロード数は2025年第1四半期に3億7,000万件を超え、前年同期比で6.2倍に急増した。累計では9億5,000万件に達している。国・地域別ではアメリカが収益面で最大市場となっており、2025年第1四半期の売上は3億5,000万ドル近くに達し、世界全体の約49%を占めた。一方、ラテンアメリカ、東南アジア、インドといった新興市場では、ダウンロード数の伸びが顕著である。

ラテンアメリカでは『DramaWave』が急浮上し、ダウンロード数を前期比で27倍に伸ばしてランキング首位に立った。東南アジアでも『DramaReels』が11倍、『Melolo』が21倍の伸びを記録するなど、成長のポテンシャルは大きい。特に『DramaWave』は東南アジアとラテンアメリカにおけるユーザーの比率が世界全体の72%を占めており、ダウンロードの86%がAndroid端末経由で行われている。

リーディングアプリである『ReelShort』と『DramaBox』は、2025年第1四半期にそれぞれ1億3,000万ドル、1億2,000万ドルのIAP収益を記録し、中国国外市場のランキングで上位を維持している。一方、新興アプリ『NetShort』は収益を171%伸ばしてランキング5位に入り、3月に配信した『Evil Bride vs CEO’s Secret Mom』などの作品が好調だった。『FlickReels』も収益を375%増加させ、アメリカのiOSランキングで上位に浮上した。

『DramaWave』の成功要因には、ターゲット市場に合わせたローカライズ戦略と、TikTokを中心としたソーシャルメディア活用が挙げられる。同アプリは2024年9月に中国国外向けに正式リリースされ、2月上旬に配信された『Married My Sister’s Fiance』を皮切りに人気が爆発。2025年第1四半期にはダウンロード数を前期比で10倍以上増加させ、4月末時点で累計ダウンロード数は5,300万、IAP収益は4,700万ドルを超えた。

TikTokでは公式アカウント「@dramawaveapp」が170万フォロワーを獲得しており、視聴者のインプレッションは一般人口の2倍以上という高い数字を記録している。人気広告は地域ごとに字幕を現地語に翻訳し、ユーザーの関心を効果的に引きつけている。広告経由のダウンロードが非常に多く、特にリリース初期の4か月間はダウンロードの80%以上が有料広告に由来していた。

このように、ショートドラマアプリ市場は2025年に入り、急拡大と新興勢力の台頭が顕著になっている。グローバル市場においては、既存プレイヤーと新興アプリとの競争が激化しており、今後も各社の戦略と動向に注目が集まる。さらに詳しい内容は、Sensor Towerのレポートから無料で確認できる。