株式会社BookBase(大阪市)が展開するライトノベルレーベル「ダンガン文庫」は、過去に打ち切りとなった作品『迷宮クソたわけ』の再刊行を発表した。本作は、KADOKAWAから2019年に第1巻が刊行されるも続刊が発売されず、事実上の打ち切りとなっていた作品である。しかし、小説投稿サイト「カクヨム」上で累計5500万PVを超える支持を集めており、再び世に送り出すことが決定した。
この取り組みは、「売れなかった作品は再刊されない」という業界の常識に一石を投じるもので、いわばライトノベル業界における“打ち切り作品のリブート”という前例のない試みとなる。リブートという言葉は本来、人気作を時代を超えて復刻する意味合いで用いられるが、今回は一度評価を得られなかった作品の復活という異色の企画である。
『迷宮クソたわけ 最弱魔法使いは借金返済のためコツコツ冒険をくりかえす』は、主人公が最弱の魔法使いとして地道に借金を返済しながら迷宮を冒険する姿を描くユニークな作風で、多くの読者から支持を得ていた。初版刊行から時間が経っても、SNSなどを中心に続刊を望む声が絶えなかったという。
BookBaseは、こうした読者の熱意と作品が持つ潜在的な魅力を再評価し、著者のイワトオ氏との協議を経て再始動に踏み切った。今回のリブートでは、イラストやキャラクターデザインを一新し、完結までの刊行を視野に入れたプロジェクトとして展開していくという。また、過去の出版契約についても、著者とKADOKAWAとの間で終了が確認されており、再刊行に向けた権利整理も完了している。
今後は、クラウドファンディングなどの施策も予定されており、読者とともに作品を盛り上げていく体制が整えられている。BookBaseでは、「迷宮クソたわけ」を皮切りに、今後も従来の枠にとらわれない新しい形の作品づくりに挑戦していく方針だ。
再刊行された『迷宮クソたわけ』は、現在AmazonおよびBOOK☆WALKERで購入可能。メディアミックスやコラボレーションにも対応しており、企業向けの提携も受け付けているという。



