推し活層の「遠征消費」の実態が明らかになった。推し活に関するデータと知見を基にリサーチ・コンサルティングを手がける株式会社Oshicoco(本社東京都渋谷区)が、推しに会うために遠方へ出向く「遠征」をテーマにアンケート調査を実施し、その結果を2026年4月13日に公表した。

調査は4月6日から4月8日にかけて、同社が運営するInstagramの「推し活応援メディアOshicoco」をフォローする推し活層を対象に行われ、有効回答数は664件であった。ライブや舞台、スポーツ観戦、各種イベントなどを目的とした遠征が、どの程度一般化し、どれほどの消費を伴っているのかを把握することが目的である。
まず、遠征経験の有無を尋ねたところ、全体の6割以上が「遠征したことがある」と回答した。遠征は一部の熱心なファンだけの行動ではなく、多くの推し活層にとって日常的な選択肢となっている実態が浮かび上がった。

遠征の頻度については、「年2〜3回」が34.7%で最も多く、「年1回」が22.1%、「年4〜5回」が21.1%と続いた。年に複数回、推しのために移動する層が主流である一方、「年10回以上」と回答した高頻度層も約19%存在し、全国ツアーや試合日程に合わせて積極的に移動するファンの姿も見て取れる。
1回あたりの遠征費用では、「3〜5万円」が33.7%で最多となった。各金額帯の中央値を基に算出した平均額は約5万9000円に上る。特に注目されるのは高額消費層で、「10〜20万円」と「20万円以上」がそれぞれ6.3%を占め、1回の遠征で10万円を超える支出をする層が1割強存在した。交通費や宿泊費に加え、現地でのグッズ購入や複数公演への参加が重なることで、遠征が推し活の中でも最大級の支出イベントになっていることが分かる。

費用の内訳で最も負担が大きい項目としては、「交通費」が53.7%で突出した。次いで「グッズ・物販」が30.5%、「宿泊費」が9.5%と続き、チケット代そのものよりも、推しに会いに行くための移動コストが最大の壁となっている現状が示された。

遠征はイベント参加にとどまらず、観光や地域消費にも波及している。遠征先で行う行動を複数回答で尋ねたところ、「地元グルメや飲食を楽しむ」が60.0%で最も多く、観光スポット巡りや買い物、聖地巡礼、遠征仲間との食事なども一定の割合を占めた。推し活をきっかけに、飲食や観光、小売といった周辺産業に経済効果が広がっていることがうかがえる。
遠征先として多く挙げられたのは、東京都が61.1%で最多となり、神奈川県、大阪府が各46.3%、愛知県が45.3%と続いた。ライブ会場やアリーナ、劇場、スタジアムが集中する大都市圏への移動が顕著である一方、宮城県や静岡県、兵庫県なども上位に入り、地方中核都市にも送客効果が及んでいる。

自由記述で遠征の理由を尋ねると、「遠くても推しに会いたい」「現場に行きたい」「その瞬間を直接見届けたい」といった声が多く寄せられた。時間や費用の負担を超えて、推しに直接会う価値を重視する姿勢が、平均約5万9000円という高額消費を支えているといえる。遠征は単なる移動ではなく、推しとの思い出を作るための体験投資として位置付けられている。
今回の調査は、同社が提供する若年層向け調査サービス「推しペディア」を活用して行われた。
株式会社Oshicocoは今後も推し活を起点とした消費行動の分析を通じ、企業や自治体へのマーケティング支援を強化していくとしている。