顔出しをせずアバターで配信活動を行う「Vライバー」に、会社員の参入が進んでいる。Vライバー事務所「Linear(リニア)」を運営する株式会社エンターファンズが所属ライバーを対象に実施した調査で、回答者の約4割が現役の会社員であることが分かった。学生やフリーランスが中心とされてきた従来のイメージから一転し、一般企業に勤める社会人が副業や自己実現の手段としてVライバー活動を選ぶ動きが広がっている実態が浮かび上がった。

調査によると、会社員ライバーの職種で最も多かったのは接客・サービス業で、全体の約3割を占めた。販売や飲食などで培った対人コミュニケーション力や気配りが、配信を通じてリスナーと関係を築くうえで強みとして生かされているとみられる。一方、事務や営業、IT関連などのデスクワークに従事する層も約2割に達しており、日中は企業で働きながら、夜間にアバターを通じて表現者として活動する二面性のある働き方が定着しつつある。
こうした会社員ライバーの活動時間帯は、21時から24時が最も多かった。1日の配信時間は平均2〜3時間程度で、仕事後のスキマ時間を活用するスタイルが主流である。
顔出しを伴わないアバター配信は、身元が知られることへの不安を軽減し、本業への影響を抑えたい慎重な会社員にとって取り組みやすい副業形態となっている。スマートフォン一台で始められる手軽さや初期投資の少なさも、参入のハードルを下げている要因だ。

自由回答では、会社員としての立場とは切り離した「もう一つの人格」で社会とつながれる点を評価する声が多く寄せられた。仕事とは異なるキャラクターで自己表現することが、気分転換やメンタルケアにつながっているとの指摘もあり、Vライバー活動が単なる収益手段にとどまらず、精神的な充足をもたらす役割を果たしていることがうかがえる。
また、施工管理や建築技術職、育成牧場スタッフ、ゲームデバッガーなど、専門性の高い職種からの参加も確認された。Vライバーというプラットフォームが、職業や経歴を問わず、多様な背景を持つ人々に開かれた表現と収益の場になりつつある状況を示している。

今回の調査は、2025年11月にLinear所属のVライバー164人を対象にインターネットで実施された。
エンターファンズは、調査結果を踏まえ、Vライバーが日本の会社員にとって現実的で安全性の高い副業の選択肢として定着し始めていると分析する。組織に属しながらも、アバターという匿名性を備えた手段を通じて個人のスキルや個性を発揮する「ハイブリッドな働き方」は、今後さらに広がる可能性があるとしている。