株式会社角川アスキー総合研究所は、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会（CESA）からの委託を受け、年次調査書「CESA ゲーム産業レポート2025」を12月15日に発売した。国内外の市場データを拡充し、AI技術の進展や法規制の動向など、業界を取り巻く変化を多面的に分析している。
今回のレポートは2024年版をもとに内容をさらに強化し、グローバル市場の構造と成長要因を詳細にまとめた。特に中国やオーストラリアの独自調査に加え、欧米諸国やインド、中東地域の市場データを新たに収録するなど、地域横断的な視点を重視している。また、国内ゲーム産業の実態やユーザー調査、東京ゲームショウや日本ゲーム大賞などCESAの主要事業報告も掲載され、業界全体の「現在地」を捉える構成となっている。
第1章では「AI技術とゲーム開発」「グローバルマーケット最新動向」「法規制の変化」の三つのテーマを特集。AI時代における創造性の拡張や著作権・知的財産権の在り方について、専門家やクリエイターが論じている。第2章では、世界と日本のゲーム市場を産業構造や技術動向から分析。2024年のグローバルゲームコンテンツ市場は前年比5.0％増の31兆円となり、モバイルゲームがその6割を占めた。PCゲーム市場の成長も顕著で、家庭用ゲームを一時的に上回る規模に達している。
国内では、家庭用ハードやソフトメーカーを中心とする「基幹企業」の就業者が約8万人、関連業種を含む総就業人口は約20万人と推定された。ゲーム産業は開発・流通・メディアなど多様な分野が連携する大きなエコシステムを形成していると指摘している。
第3章ではユーザー動向を整理。2024年の国内ゲーム人口は5,475万人で、前年からわずかに減少した。モバイルが4,278万人と中心を占めるが、PCゲームでは微増が見られた。家庭用ゲームはSwitchの発売から7年を経たが堅調を維持しており、2025年には後継機「Switch2」の登場による再拡大が期待される。
レポートの付録では、中国・オーストラリアに関するエキスパートインタビューやユーザー調査も収録。現地市場の実情を一次的な聞き取りでまとめており、研究資料としても価値が高い。
「CESA ゲーム産業レポート2025」はA4判462ページで、書籍版・PDF版いずれも税込・送料込みで5万5000円。ゲームマーケティングサービス「f-ism（エフイズム）」にて購入できる。業界関係者のみならず、研究者や学生、ビジネスパーソンにも有用な情報源となりそうだ。
