東京・西麻布のオルタナティヴ・スペースWALL_alternativeで、メディアアートの保存と継承をテーマにした企画展「Collection – Correction メディアアートの再編成と作品の延命」が開催されている。会期は2026年2月11日から3月7日までで、エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社が運営する同スペースが主催である。ゲストキュレーターに日本のメディアアート現場で長年活躍する畠中実を招き、藤田クレアと三原聡一郎の作品を通じて「メディアアートを10年後、100年後に残すことは可能か」という根本的な問いを投げかけている。
本展は、技術の進化とともに変化するメディアアートの特性に着目する。藤田クレアの作品は、自然物である貝殻や鳥の羽に刻まれた記憶を読み取り、サウンドに変換する装置だ。自然エネルギーの予測不能なリズムと機械構造が交差し、環境に応じて揺れ動く。彼女は作品が手元を離れた後の扱いを考慮し、販売時の規定書を掲示して維持方法を示す。一方、三原聡一郎はサウンドアートプロジェクト《moids》シリーズの資料や《土をつくる》の装置を展示する。これらは制作プロセスを公開し、微生物やコンポスティング装置を用いて作品の継承を追求する実践である。両者のアプローチが、修復や保全の多様な可能性を浮き彫りにする。
メディアアートはコンピュータやセンサー、ネットワークなどの同時代技術に依存する表現である。しかし、機器の劣化や環境変化により、従来の保存手法では限界がある。過去の事例では、事後的な修復や再制作が行われるが、本展は創作者、収集者、鑑賞者の視点から持続性を考える。畠中実はキュレーターとして、バイオアートや動的作品の課題を指摘し、技術者との議論を促す。こうした取り組みは、作品を歴史の語り手として後世に残すための示唆を与える。
最終日の3月7日にはクロージングトークを開催する。株式会社MeAM代表の田部井勝彦、コンサベーター兼アーティストの中川陽介、畠中実が登壇し、「メディアアート作品を100年残す─作品修復とコレクションの可能性」をテーマに議論する。時間は18時から19時で、事前申込制かつ入場無料だ。田部井はメディアアートのメンテナンス専門家として三上晴子や岩井俊雄らの作品修復を手がけ、中川はタイムベーストメディアの保存に独自の作品で介入する。
本展は恵比寿映像祭2026の地域連携プログラムであり、年4回の連続企画「MEDIA ART CIRCUIT 2026」の一環でもある。このサーキットは六本木から西麻布のナイトカルチャー文脈でメディアアートを再接続し、展示や音楽、トークを融合させる。併設バーでは会期限定でヴィンテージワインを提供し、アートと日常の交流を促す。入場無料で予約不要、18時から24時開場、日曜定休である。メディアアートの未来を考える好機だ。



