経済産業省が推進するクリエイター育成プログラム「ART X JAPAN CONTEXT」の最終作品発表・展示会が、3月7日と8日の2日間、東京ミッドタウンで開かれる。アートと企業、地域文化を融合させ、世界市場で通用するアーティストおよびスタートアップの創出を目指す試みだ。
本プログラムは、経済産業省の令和6年度補正予算「クリエイター・エンタメスタートアップ創出事業費補助金(アート分野)」を活用し、株式会社アブストラクトエンジン(東京都渋谷区、代表取締役・齋藤精一)が実施している。2025年7月から約8か月間、アーティストと企業、地域が持つ文化的資源をマッチングし、日本の多層的な文脈を社会に再提示する作品づくりを進めてきた。
展示会では、「日本らしさ」と「多重な文化・文脈」をテーマにした8組のアーティストチームによる作品が並ぶ。音や動きを取り入れたインスタレーション、最新技術と伝統工芸を融合させた絞り染め作品など、多彩な表現が来場者を迎える予定である。会場はミッドタウンのアトリウムとガレリアで、入場は無料、事前登録も不要となっている。
初日のオープニングセレモニーでは、経済産業省文化創造産業課の藤井亮介調査官が開会の挨拶を行い、統括プロデューサーの齋藤氏がプログラムの意義と今後の展望について語る。続けて、参加チームが作品への想いや制作過程を紹介する予定だ。
齋藤氏は「アートの領域は今や美術館を超えて広がりつつある。デザインやテクノロジーと結びつくことで、日本独自の文化や思考が世界の視点と交差し、新たな表現が生まれている」と語る。また経済産業省は、「企業や地域の文化的資源が国際的評価につながるアート作品を生む」と述べ、今後の共創の可能性に期待を寄せている。
参加チームには、建築やサウンドアート、メディアアート、伝統工芸など幅広い分野のクリエイターが集結した。たとえばサウンドアーティスト池田翔と制作会社Ladaによる「おとがたりの列島」は、鑑賞者の動きに反応して音が変化する体験型作品である。建築家の杉浦久子と東洋竹工による「市中の山居―橋上の茶室 WA-AN」は、茶の湯の「見立て」を現代都市に再構築した空間作品として注目を集める。
そのほか、伝統の有松鳴海絞りを用いた松山周平とスズサンの「Encoded Nature on Cloth」や、クラブカルチャーを題材にしたEXP2FLOORとWOMBの「LOOOPs on the FLOOOR」など、技術・文化・社会を横断する作品がそろう。
「ART X JAPAN CONTEXT」は、アートが経済や産業と交わる現代において、日本の創造的資産を再発見し、それを世界へ伝える新たな試みである。来場者は、アートを通じて日本の多層的な文化の未来を感じ取ることができるだろう。



