アートとデジタルテクノロジーを横断する文化拠点「シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)」が、原宿に移転リニューアルオープンした。公益財団法人東京都歴史文化財団が運営し、これまで渋谷を拠点に展開してきた同施設は、原宿を舞台に新しい創造活動の実験を始めている。
オープニングでは、アーティストや研究者、行政関係者らが登壇するトークセッションが行われ、都市の未来と創造の関係について活発な議論が交わされた。初の音楽イベント「Sound Atlas #1 極地からの音」では、音の本質を探る試みが繰り広げられ、来場者は音がもつ新たな感覚世界に触れた。
街と連動した企画「シチズン・マニフェスト」も話題を集めた。アルスエレクトロニカの協力で実施され、AIを介して来場者が未来の原宿を語り合い、生成されたマニフェストを街に掲出する参加型アートとして注目を集めた。市民が創造の主体となるCCBTの理念を体現した取り組みである。
また、原宿の街を素材にしたワークショップ「Urban Ink」も開かれ、参加者が街角の風景をインク化してポスターを制作した。日常の景色に潜む創造の可能性を再発見する機会となった。
地下スタジオと3階ベースでは、アートチームSIDE COREによる特別展「新道路」が開催中である。東京から能登半島へ至る旅を軸にした映像インスタレーションを中心に、都市と地域の関係を問う内容となっている。会期は1月25日までで、入場無料。
CCBTクリエイティブ・ディレクターの小川秀明氏は「東京を実験都市として再定義し、未来の社会像をアーティストと市民が共創する拠点としたい」と語る。2025年度のテーマは「これからのコモンズ」。人と人、あるいは植物やロボットなど非人間的存在との協働を通じて、新たな共有地を創り出す構想である。
今後もアーティスト・フェローによる多様なプロジェクトが続く。上田麻希は嗅覚を通じて空気の「コモンズ」に迫る展覧会「嗅覚の力学〜メディウムとしての空気〜」を2月に開催予定。岸裕真は植物知性とAIを結ぶ「平行植物園」プロジェクトのシンポジウムを今月25日に開く。藤嶋咲子は都市に埋もれた声を再構築するゲーム型展覧会「Re: Play」を3月に発表する。
CCBTは、アートとテクノロジーの融合を通じ、都市を想像力で更新する「市民のための創造実験場」として始動した。新拠点・原宿から、東京の文化地図が再び描き換えられようとしている。


