作家・大藪春彦の功績を讃えて設立された第9回「大藪春彦新人賞」の選考会が、2025年10月29日に徳間書店で開かれた。応募総数352編の中から、津村正俊氏の「怖い部屋、怖い男」と寺田勢司氏の「穴を穿つ」の2作品が受賞作に選ばれた。選考委員は今野敏氏、馳星周氏、徳間書店文芸編集部編集長が務めた。
津村氏は大阪府出身の62歳で、作品は400字詰め原稿用紙換算で72枚。寺田氏は石川県出身の41歳で、原稿枚数は76枚だった。贈賞式は2026年3月に予定され、第28回大藪春彦賞とともに開催される。受賞者には賞状と副賞100万円が贈られ、同時受賞の場合は折半となる。
併せて「大藪春彦新人賞 映像化奨励賞」も発表された。昨年創設されたこの賞は、映像化にふさわしい作品を選ぶ目的で設けられたもので、特別選考委員は映画監督の白石和彌氏が務めた。本年度は春名洋服氏の「潜水艦カブト」が受賞した。春名氏は兵庫県出身の48歳で、作品は80枚の中編である。
映像化奨励賞の授賞式も2026年3月に行われ、徳間書店映像化推進委員会から賞状が授与される予定だ。今回の結果は、新たな才能の発掘とエンターテインメントの広がりに期待を寄せるものとなった。


