株式会社CARTA ZEROは10月23日、国内最大規模の広告クリエイティブフェスティバル「虎ノ門広告祭」で、アイドルを広告クリエイティブの思考でプロデュースする実験的セッション「IDEA×IDOL」を開催した。登壇者には電通、CHOCOLATE Inc.、東急エージェンシーなど、多様な広告会社の第一線で活躍するクリエイターが参加した。彼らはCARTA ZEROが支援するアイドルグループ「SAKURADOLL」を題材に、広告的発想を生かした企画を披露した。
冒頭ではCARTA ZERO上級執行役員の大橋徹氏が、広告代理店がプロダクション事業に参入する背景を語った。タレントやクリエイターを自らキャスティングできる環境づくりの重要性や、「普通ではない価値」を生み出すエンタメ創出への挑戦について説明した。事業企画室の島田嶺氏は、アイドルとのタイアップ企画やサンリオとの商品開発など、広告の枠を超えた新規事業の取り組みを紹介した。
また、アイドルのマネジメントを担うSTREETLABO CEOの亀井文徳氏が登壇し、「SAKURADOLL」の海外展開構想を説明した。日本の魅力を世界に発信するIP(知的財産)として、グローバル市場に挑戦していると述べた。後半は4人のクリエイターが新曲をもとに各自の企画を発表し、SAKURADOLLが実際にライブパフォーマンスを披露した。
CHOCOLATE Inc.の石橋素直氏は「8,000,000(やおよろず)KAWAII!!」をテーマに、あらゆる「可愛い」を肯定するダンスを提案。観客を照らす演出で会場の一体感を生み出した。東急エージェンシーの秦透哉氏は「Sweet Dream」と題し、「寝る前の15秒」を狙った楽曲を制作。SNSでの「おやすみ動画」投稿による拡散を狙うと語った。電通の田中賢一郎氏は「ガチ恋♡チュパカブLOVE」で、奇抜な発想に笑いを交えた演出を披露。ファンの投稿による自然拡散の仕組みを提案した。続くクドウナオヤ氏は「恋する絵描き歌」として、ダンスと絵を融合させた演出を提案。SNSの「描いてみた」文化との親和性を重視し、参加型の展開を示した。
セッション後、観客からは「実際にリリースされれば話題になりそう」といった声が上がり、広告クリエイターの発想がエンタメを拡張する可能性を示した。コピーライティングやUGC設計、テクノロジー活用を掛け合わせることで、CARTA ZEROは「広告×エンタメ×アイドル」の新領域を提示したといえる。
「SAKURADOLL」は2024年に始動し、「Made in Japan to the World」を掲げて活動するアイドルグループである。CARTA ZEROは海外でのファンコミュニティ形成や、現地に最適化したPR戦略を通じて展開を支援している。広告クリエイティブを基盤としたプロデュース手法が、次世代のアイドル像を形づくる可能性を示したイベントとなった。


