「ATAMI ART GRANT 2025 supported by Pasona art now」が今年11月1日から30日まで、静岡県熱海市内で開催される。メイン会場には築60年のリゾートマンション「野中山マンション」が選ばれ、観光導線ではなく生活空間そのものを展示場所として地域住民とアートの新たな関わりを築く試みとなる。主催はATAMI ART LINK DAO合同会社で、芸術祭は火・水曜を除く11時から17時に一般公開される。
本企画は、2021年にスタートした滞在型制作プロジェクト「ATAMI ART RESIDENCE」とアーティスト支援制度「ATAMI ART GRANT」を軸に進化してきた。5回目を迎える今年は、市民主体の運営に舵を切り、熱海に根ざす文化と生活の共創を目指す。マンション以外にも街中の店舗や雑居ビル、海沿いのホテル「リゾーピア熱海」などが展示会場となり、多層的な都市空間をアートで再発見する構成だ。熱海サンビーチにはインフォメーションブースを設け、地元クリエイターと連携した限定ショップも登場する予定である。
また、芸術祭の一環として雑居ビルの空間を使った写真展「How to go」も企画される。国内を代表する写真家が参加し、多彩な作品が熱海の街角に並ぶ予定だ。イベントは市民主導として「0回目」と位置づけ、来年以降は地域住民と訪問者の共創による持続的な文化祭への展開を構想している。
企画責任者の近藤尚は「地域に住む人が主体的につくる芸術祭こそが継続の鍵になる。熱海の人々とアーティストが協力し、まち全体で祭りをつくることが目標だ」と語る。
キービジュアルは画家・水戸部七絵のオリジナルフォントNFT「Nanae Mitobe Fonts V1」が採用され、芸術祭のグッズ展開も予定されている。水戸部はウィーンと日本を拠点に活動する画家で、具象から抽象まで幅広い表現で時代を描き出すアーティストとして知られる。
今年の参加アーティストはHB.、花坊、キムヒョンソク、KINJO、近藤尚、田中勘太郎、中澤ふくみ、vug、花井優太、松田将英、森山泰地、丹羽優太など多彩な面々が名を連ねる。展示はマンション内外の空間に広がり、まちの生活と芸術が溶け合う構成となる予定だ。
メインスポンサーの株式会社Pasona art nowは、アートによる地域共創を掲げ、文化支援と事業開発、人材育成を融合させた新たな社会モデルを模索する。協賛には株式会社TAM、株式会社しゃかいか、ACAO FOREST、株式会社MXD、BLOCK HOUSE、リゾーピア熱海、Island Japanなどが名を連ねる。



