株式会社啓林堂書店(奈良県大和郡山市)は、創業50周年を記念し、10月中旬から11月中旬にかけて奈良県内各店舗と特設サイトで連続イベントと店頭フェアを開催している。「すべてのブックライフによりそう」をミッションに掲げ、本との出会いだけでなく生まれる瞬間や読み方、その後の感じ方までを体験できる企画だ。
フェア「本に夢中」では、書店員が自らのブックライフを語りつつ「#わたしを夢中にした本」を紹介し、知らなかった一冊や新たな読み方との出会いを促す。イベントでは文芸評論家やブックインフルエンサー、編集者、出版社、歌人らが登壇し、本を読む・書く・味わう・つくるといった多様な関わり方を参加者と共有する。例えば、感想を言葉にして発信する方法を考えるワークショップや、編集者独自の読み方を学ぶ読書会、本が生まれ読者へ届くまでの過程を語るトークなどが行われる。また、歌人とともに奈良の風景を題材に短歌を創作する企画も予定されている。
啓林堂書店は2023年12月、近鉄奈良駅前に滞在型ブックカフェ「書院 SHOIN」を開設し、蔵書約10万冊を揃えた読書空間を提供してきた。今回の周年事業はその取り組みを店舗とイベントへ広げ、奈良発の読書文化を次の50年へつなぐことを目指す。代表取締役社長の林田幸一氏は「本を愛おしむ人を増やしたい」と語り、精神的な豊かさを重視する時代における書店の役割を強調している。
イベントの詳細や参加申込は特設サイトで受け付けており、奈良から全国へ、本を巡る新たな時間が広がっている。



