若手アーティストの発掘と育成を目的とした現代美術展「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2025」(アートアワードトーキョー丸の内 2025、以下AATM)が9月8日、行幸地下ギャラリーで開幕した。今年で19回目を迎える本展は、全国18校からノミネートされた146点の中から選ばれた20作品を展示している。初日には各賞の表彰式が行われ、グランプリは東京藝術大学大学院の相波エリカさんが受賞した。
相波さんの受賞作「serious and unimportant」は、日常的な風景を描きながらも抽象的な雰囲気を漂わせる表現が高く評価された。審査員を務めた建畠晢氏(多摩美術大学名誉教授)は「現実の中に潜む予兆や不穏さを感じさせつつ、全体としてはチャーミングな魅力を持つ作品である」と講評した。相波さんには表彰状と副賞として三菱一号館美術館での展示の機会、そして賞金が贈られた。
審査員賞には江崎空悟さん(武蔵野美術大学大学院)、西田咲貴さん(名古屋造形大学)、楊琢さん(多摩美術大学大学院)、橘葉月さん(京都市立芸術大学大学院)、和田竜汰さん(東北芸術工科大学大学院)、松浦美桜香さん(多摩美術大学)らが選ばれた。さらにDeloitte Private賞、フランス大使館賞、三菱一号館美術館賞など多彩な企業・団体が協賛し、若手の挑戦を後押しした。
展示は9月23日まで行幸地下ギャラリーで一般公開され、入場は無料となっている。また、併催企画として、AATM2007に参加し現在も活躍を続ける薄久保香氏と谷口真人氏による特別展「AATM2025 サテライト展」が三菱一号館美術館Espace 1894で開催されている。
今回のAATMには審査員として大学教員や美術館館長、現代美術の第一線で活動するキュレーターらが参加し、若き才能を見いだす場となった。丸の内では今後もアートを通じて新たな文化発信を行い、次世代を担うアーティストの可能性を広げていく方針である。


