2025年8月15日、MINDAI PTE. LTD.は世界初のPersonal Agent「Macaron AI」を正式に発表した。従来のProductivity AIが業務効率化を目的としてきたのに対し、Macaronはユーザーの個性や嗜好、習慣を理解し、日常生活そのものを支えることを目的に設計された新カテゴリーのAIである。単なる作業補助ではなく、利用者の行動履歴や目標を高精度にモデル化し、会話内容を解析してパーソナライズされたミニアプリケーションを即時生成する機能を備える。これにより、生活プロセスの最適化と効率的な支援を同時に実現する。
これまでのAI進化は、生産性の向上に焦点が当てられてきた。しかし、その結果として労働者の負担は軽減されず、むしろ業務圧力が増す現象が指摘されている。高速化や正確性は必ずしも人間の幸福に直結せず、「生活が豊かになった」という実感は薄い。この課題に対する新たな潮流として、生活体験を中心に据える「Experience AI」が登場している。マーク・ザッカーバーグ氏も「AIを人々の人生に対して個別に力を与える存在へ」と述べ、業界の方向性を変えつつある。Macaronはまさにこの文脈に沿い、「誰のために何をするか」を問い直すAIとして位置づけられる。
Macaronは、ユーザーごとのニーズに応じたミニアプリを最短15分で生成可能だ。コードや設定は不要で、予算管理やレシピ提案、旅行プラン作成など、多様な生活シーンに合わせたアプリを自律的に作り出す。これは記憶機能「Deep Memory」と統合的なコーディング能力の連携によって実現されており、過去には研究レベルでのみ存在した機能を一般消費者向けに提供する初の事例となる。各ユーザーの文脈や嗜好を学習し続けることで、フィットネスコーチや旅行コンシェルジュなど、個別に進化するAIへと成長する。
Macaronの技術的中核は、強化学習(RL)を活用したエージェンティック記憶システム「Deep Memory」である。単なる履歴参照ではなく、会話に「memory token」を挿入して記憶を動的に管理し、ユーザーの反応を報酬として学習することで、何を記憶し、何を削除・更新するかを自己判断する。この結果、数週間から数か月にわたる対話履歴を保持し、文脈をまたいだ応答や可塑的なパーソナライゼーションが可能となった。さらに、高効率なインフラ設計により、同等性能の既存モデルが512枚のGPUを要するところを、わずか48枚のH100 GPUで671Bパラメータモデルを訓練することに成功している。



