山梨県富士吉田市で2025年11月22日から12月14日まで、織物と現代アートが融合するアートイベント「FUJI TEXTILE WEEK 2025（フジテキスタイルウィーク）」が開催される。同イベントを主催するFUJI TEXTILE WEEK実行委員会は、会期に先立ち、アート展の参加アーティスト第1弾として、国内外から選出された9組を発表した。参加作家たちは富士吉田市内でフィールドワークを重ね、地域と対話しながら作品を制作する予定である。残る参加アーティストは、今後発表される。
「FUJI TEXTILE WEEK 2025」のテーマは「織り目に流れるもの」。織物に織り込まれた歴史や文化、土地の記憶といった目に見えない存在に焦点を当て、それらが現代アートと出会うことで新たな物語を紡ぎ出すことを目指す。アート展のディレクターは前回に引き続き南條史生が務め、キュレーターには作家でもある丹原健翔が就任する。
過去には、大巻伸嗣、落合陽一、清川あさみら名だたるアーティストが参加してきた同イベントは、地場産業とアートを架橋する独自の取り組みとして国内外で注目を集めてきた。会場には繊維産業が栄えた時代の工場や問屋といった歴史的建築が活用され、来訪者に土地の記憶と現在をつなぐ体験を提供する。アーティストたちはテキスタイル表現にとどまらず、富士吉田の風土や人々の暮らしにも目を向けながら、多様なアプローチで作品を展開する。
今回発表された参加作家は、相澤安嗣志、安野谷昌穂、上條陽斗、齋藤帆奈、柴田まお、長谷川彰宏、Pieces of Jade（台湾）、増田拓史、松本千里の9組。それぞれが彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、バイオアート、建築的手法など多彩な表現手段を用い、織物と共鳴する作品を生み出す。中でも台湾のテキスタイルスタジオ「Pieces of Jade」は、世界各国で作品を発表し、国際的な評価を得ている新進気鋭の作家だ。
参加作家の一部はすでに富士吉田を訪れ、現地の歴史や街並みを調査しており、作品制作の様子は公式SNSを通じて発信される予定。地元の織物協同組合や観光振興団体などとの連携により、地域に根差した芸術祭としての深化が期待される。
「FUJI TEXTILE WEEK 2025」の会場は、富士吉田市下吉田本町通り周辺で、休館日は11月25日、12月1日、8日。チケットは8月下旬から販売開始予定。詳細は公式サイト（https://fujitextileweek.com）および公式SNS（Instagram：@fujitextileweek、X：＠FUJITEXTILEWEEK）で随時公開される。織物の街に息づく文化とアートが交差するこのイベントは、観る者に地域と表現の新たな可能性を提示する。
