独立行政法人日本芸術文化振興会は、次世代のクリエイターやアーティストの国際的な活躍を後押しする「文化芸術活動基盤強化基金(通称:クリエイター支援基金)」のシンボルマークを制定し、2025年6月5日に公式サイトを公開した。基金は文化庁の補正予算に基づいて設置され、若手人材の育成や文化施設の機能強化を通じて、国内文化芸術の国際的展開を目指している。

同基金は、令和5年度の文化庁補正予算をもとに創設され、2024年度より「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」として本格的に始動。すでに42件のプロジェクトが採択されており、〈マンガ〉〈アニメ〉〈ゲーム〉〈舞台芸術〉〈現代アート〉〈伝統芸能〉といった多様なジャンルにおいて、600人を超える若手クリエイターらの育成と国際的な発信が進められている。

今回制定されたシンボルマークは、「平面」をモチーフとしており、幾何学的な視点から、無限に広がる創造の可能性を象徴するデザインとなっている。日本を出発点として、文化芸術が国境を越えて拡がっていくイメージを体現している。また、基金全体のシンボルマークに加えて、4つの事業区分ごとのマークも作成されている。

同日に開設された公式サイトでは、基金の概要や支援対象となる4つの事業内容、採択プロジェクトの紹介に加え、クリエイター向けの公募情報やガイドライン、プロモーション動画などが掲載されている。今後は各プロジェクトの進捗や展覧会、公演などのイベント情報も随時更新していく予定である。

また、同日午後には文部科学省講堂において、「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」の中間報告会が開催された。報告会では採択プロジェクトのうち8団体が登壇して進捗報告を行い、続いて若手クリエイター7名によるラウンドテーブルが実施された。会の終了後には、今後の活動につなげるための情報交換会も開かれ、関係者間の交流とネットワーク形成の機会となった。なお、この模様は後日公式サイトにて公開される予定である。

基金は現在、以下の4つの事業を中心に展開されている。「クリエイター・アーティスト等育成事業」では、若手の挑戦や経験の蓄積、ビジネス展開も視野に入れた総合的な人材育成を推進する。「文化施設による高付加価値化機能強化支援事業」では、博物館や劇場などの文化施設を拠点として新たな価値を創出する機能形成を目指す。また、「育成プログラム構築・実践」事業では、大学や企業などとの連携による実践型プログラムの構築が進められており、国際的な活躍を見据えた人材育成が図られている。

さらに、経済産業省の補正予算によって措置された「クリエイター・事業者海外展開促進事業」も実施されており、アニメやゲームなどの長期的な制作支援を通じて、海外展開と制作会社の収益基盤の強化が進められている。

「文化芸術活動基盤強化基金」は、日本の文化芸術の新たな可能性を切り拓く土台として、今後もクリエイターやアーティストの国際的な舞台への飛躍を支える役割を担っていく。