働く人々にとって待ち遠しいボーナスの季節。だが近年の物価高や将来への不安を背景に、使い道を慎重に考える人が増えているようだ。株式会社ビズヒッツ(本社:三重県鈴鹿市)が2025年4月に実施した調査によると、全国の社会人501人を対象に「次のボーナスの使い道」を尋ねた結果、最も多かったのは「貯蓄に回す」だった。

調査では、ボーナスの使い道として1位となったのが「貯蓄」で29.9%。次いで「旅行」が29.5%と僅差で続いた。貯蓄を選んだ理由としては、「将来への備え」や「収入の不安定さ」、「子どもの教育費」など、現実的で堅実な意見が多く見られた。一方で旅行は、「頑張った自分へのご褒美」や「家族との思い出作り」など、心の豊かさを重視した選択肢として人気を集めている。ただし、実際には旅行を望みながらも「金額的に難しい」「時間が取れない」などの理由で断念する人が多いことも調査から明らかになった。

3位には「投資」がランクインし、10.0%の人がボーナスを運用に回したいと考えている。特に若年層では「普段は少額しか投資できないが、ボーナスでまとまった額を投資に回したい」という声もあった。その他、「家電の買い替え」や「パソコンの購入」といった実用的な支出も上位に入り、いずれも高額商品のためボーナスを活用する人が多いことがうかがえる。

一方で、「各種ローンの返済」や「生活費の補填」といった回答も目立った。特に「給料だけでは赤字になる」「ボーナスがないと暮らせない」といった声からは、生活にゆとりがない現実が浮かび上がる。

また、「本当は使いたいけれど我慢しているもの」として最も多く挙げられたのが「旅行」で、全体の31.9%にのぼった。次いで「スマホの買い替え」「パソコンの購入」と続く。これらに共通するのは、価格が高く、日常生活に必ずしも直結しないため、優先度が低くされがちな点だ。とくに旅行については、「ハワイに行きたいけど予算が足りない」「物価が高くて断念した」など、切実な声も寄せられている。

スマホや家電などの必需品についても、「まだ使えるから」と買い替えを先送りする傾向が強い。中には「旅行を優先したいから冷蔵庫の買い替えを我慢している」といった例もあり、限られたボーナスをどこに使うか、優先順位のつけ方に苦慮する人が多いようだ。

推し活やファッションへの出費も我慢されやすい項目に入っている。特に「ライブ遠征」や「ブランドバッグ」は、「欲しい」「行きたい」という強い思いがあっても、実際の出費を考えると断念する人が少なくない。

ボーナスの平均支給額は34.9万円だったが、「10万円超20万円以下」が最も多く、全体のボリュームゾーンとなった。このことから、全体的に高額な消費には踏み切れず、節約志向が根強いことがうかがえる。

調査を監修したファイナンシャルプランナーの松田梓氏は、「20代から50代はライフイベントが多く、支出が重なる時期。将来への備えと現在の充実をどうバランスよく実現するかが、ボーナスの使い道に反映されている」と分析している。

今回の調査では、心の中では旅行や趣味に使いたいと考える人が多い一方で、実際には貯蓄や生活費の補填といった堅実な使い方が優勢となった。ボーナスは確かに特別な収入だが、その限られた金額の中で将来を見据え、現実と向き合う社会人の姿が浮かび上がっている。

調査結果・ニュース引用元:https://bizhits-websaiyou.com/