富士フイルム株式会社は、ハーフサイズカメラに着想を得た新たなデジタルカメラ「X half(エックス ハーフ)」を2025年6月下旬より発売すると発表した。製品名は「FUJIFILM X-HF1」で、重量はわずか240グラム。独自の色再現技術と高度な画像処理を搭載し、アナログ写真の楽しさを現代に再現・進化させたモデルとして注目されている。

「X half」は、1963年に同社が発売した「FUJICA Half」にルーツを持ち、35mm判フィルムの半分のサイズで撮影可能だったハーフサイズカメラの魅力を現代に甦らせた。縦構図での撮影に適した3:4のアスペクト比を採用し、縦型の光学ファインダーと液晶モニターを備えている。加えて、2枚の縦構図の写真を1枚に合成する「2in1」機能も搭載。静止画と動画を組み合わせるなど、独自のストーリー性ある作品づくりが可能だ。

また、同社の「Xシリーズ」で人気の「フィルムシミュレーション」機能には、「REALA ACE」など13種類の色調モードを収録。さらに、光漏れやハレーションを再現する新フィルター「ライトリーク」「ハレーション」「期限切れフィルム」なども新たに搭載し、アナログ感あふれる表現を追求している。

特筆すべきは「フィルムカメラモード」の存在だ。このモードでは、設定した枚数を撮り終えるまで撮影結果を確認できない。シャッターごとにフレーム切り替えレバーを操作し、まるでフィルムを巻き上げるような感覚で撮影を進める仕様となっている。撮影後は、専用アプリ「X half」を介してデータを転送し、現像と編集、SNSでの共有、スマホプリンター「チェキ」シリーズでのプリントが楽しめる。

ボディは高級感あるクラシカルなデザインで、カラーバリエーションはチャコールシルバー、シルバー、ブラックの3色。35mm判換算で焦点距離32mm F2.8の単焦点レンズを搭載し、かつてのレンズ付きフィルム「写ルンです」と同様の画角で撮影可能だ。裏面照射型1インチセンサーにより、コンパクトながらも高画質を実現している。

タッチ操作に対応した新しいユーザーインターフェースや直感的なメニュー操作により、操作性も高められている。光学ファインダー使用時には最大880枚の撮影が可能で、バッテリーを気にせず撮影に集中できる点も魅力だ。

発売に先立ち、5月23日から25日までの3日間、東京都世田谷区のBONUS TRACK(下北沢)にて体験イベント「シモキタシャッター」が開催される。会場では「X half」の実機を手に取り、セルフポートレート撮影やカメラのレンタル体験など、多彩な企画を通じてその魅力を体感できる。

富士フイルムは「X half」を通じて、デジタルとアナログの垣根を越えた新たな撮影体験を提供し、写真文化の深化を目指すとしている。