通勤や通学など日常の移動時間が、新たな読書体験の場へと変わりつつある。株式会社メトロアドエージェンシー(東京都港区)は、スターツ出版株式会社およびエヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社と共同で、漫画コンテンツを活用した交通広告企画『立読み歓迎!コラボプロジェクト』を実施している。電車内で漫画の冒頭部分を“立ち読み”できるという新たな試みが、利用者の興味を惹きつけている。

このプロジェクトは、車内に掲出されたまど上ポスターを通じて漫画のストーリー導入部を紹介し、続きはスマートフォンで読むという流れを促すもの。デジタルコミックの意識調査で「移動中にも手軽に読みたい」というニーズが多くあることに着目し、2025年1月から5月にかけて全4作品を紹介。原作者や漫画家のインタビューも交え、物語に奥行きを与える特別企画も展開された。

スターツ出版は月に3~4本の新作を発刊しており、読者にどのように作品を届けるかという課題を抱えていた。一方、メトロアドエージェンシーでは交通広告の効果が可視化しにくいという悩みがあり、双方の課題を解決する形で今回のコラボが実現した。

広告掲出後には明確な成果が表れた。無料閲覧数はプロジェクト開始前と比べて244%増加し、初めて作品を購入したユーザー数も113%の伸びを記録。「続きが気になる」という心理に訴える設計が功を奏し、ユーザーからの反響も大きかったという。

交通広告は、移動中という制限された時間の中で自然に目に入る媒体であり、その強制視認性の高さが特徴である。まど上ポスターは特に注視されやすく、読者が立ち止まって読むことのできる媒体として強みを持つ。また、通勤中に友人や同僚と広告の話題で盛り上がるなど、コミュニケーションのきっかけにもなっている。

メトロアドエージェンシーとスターツ出版は今後も「日常に寄り添う娯楽」として、移動時間の価値を高める取り組みを続けていく方針だ。

インタビュー記事の詳細や特別企画へのリンクは、メトロアドエージェンシー公式サイトにて公開されている。