2025年大阪・関西万博の会場で、「Co-Design Challenge(CDC)」と題された新たなプロジェクトが始動した。この取り組みは、デザインとものづくりの力を通じて「これからの日本の暮らし」を形にし、その価値を世界へ発信することを目的としている。2022年から公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が展開してきた本プロジェクトでは、2度の募集を経て選ばれた計22のプロジェクトが、実際に万博会場で実装された。

CDCの第1弾となる2023年度は、社会課題の解決を目的としたプロダクト開発が主軸となった。続く第2弾の2024年度では、地域への誘客を視野に入れ、工房の公開や体験型のオープンファクトリー企画なども加わった。これらの取り組みにより誕生したプロダクトは、万博開幕日の4月13日より、来場者が実際に見て、触れて体験できるかたちで会場に展示されている。

この実装に合わせて、開発に携わった事業者たちが自らの想いやビジョンを語るイベント「Co-Design Challenge Pitch」も始まる。初回は5月28日にフューチャーライフヴィレッジのTEステージ棟で開催され、以降9月までに全5回が予定されている。ピッチイベントでは、登壇者がプロダクトに込めた社会課題へのアプローチ、開発の過程で得た学び、そして見据える未来について語る。登壇事業者の話を通じて、製品の背景にあるストーリーが浮かび上がり、単なる展示にとどまらない共感と発見の場が創出される。

第1回目には、象印マホービン株式会社による「マイボトルでの飲料提供を促進するための洗浄機」や、府中ノアンテナによる「風景を切り取るような額縁工房のスツール作り」、信楽陶器工業協同組合による「リサイクル資源とデジタル技術を活用した陶製スツール」、一般社団法人吉野と暮らす会による「吉野材を用いた持続可能なベンチ」といった、地域資源や課題解決に根ざしたプロジェクトが披露される。

また、本イベントのナビゲーターには、建築やアート、デザインを横断して活躍する齋藤精一氏をはじめ、グッドデザイン賞を支える矢島進二氏、graf代表の服部滋樹氏、地域計画に関わる内田友紀氏、BEPPU PROJECT創設者の山出淳也氏など、各分野を代表するクリエイターが登壇予定だ。これらの専門家たちが、プロジェクトをより深く紐解きながら、来場者にその魅力を伝える役割を果たす。

万博会場内には、CDCの22の挑戦を紹介する展示台がフューチャーライフヴィレッジに2台設置され、閉幕までの期間中、訪れる誰もがプロジェクトに触れられる環境が整えられている。ただし、一時的に展示されていない場合もあるため注意が必要だ。

Co-Design Challengeは、博覧会の一過性にとどまらず、現在進行形で社会に必要とされる価値を提案し続けている。日本各地の地域性と職人技、そしてデザインの力を結集し、「いのち輝く未来社会のデザイン」を目指す大阪・関西万博の理念に呼応するかたちで展開されるこの取り組みは、まさに未来をつくるための試金石とも言えるだろう。

なお、万博への入場にはチケットが必要だが、Co-Design Challenge Pitchのイベント自体は無料で参加可能。事前予約も不要で、入退場も自由にできる。今後の登壇事業者については、公式ウェブサイトにて随時発表される予定となっている。