キリフダ株式会社と株式会社東京ドームは、LINEミニアプリを活用したNFT配布施策「TOKYO DOME MEMORIAL NFT 365」の実証実験を開始した。この取り組みでは、東京ドームシティを訪れた“その日、その瞬間”をNFTとしてデジタル化し、来場者がLINEを通じて手軽に受け取れる仕組みを構築する。
NFTは毎朝7時に日替わりで発行され、1日400枚限定で無料配布される。アートワークは週ごとに異なるアーティストが制作し、NFTには当日のイベント情報などがメタデータとして記録される。NFTの受け取りは、会場内のポスターなどに掲載されたQRコードを読み取るだけで完了し、ウォレットの作成やメール登録などの手続きは不要。LINEを利用していれば誰でもその場で受け取ることができる。
この取り組みの背景には、東京ドームシティという年間4,000万人が訪れる一大エンターテインメント拠点において、来場者の体験をより深く記憶に残し、さらにデジタルで保存・共有できる手段を提供したいという課題認識がある。これまでの来場体験は記憶に留まるだけで、再び振り返る手段が限られていた。今回のPoC(概念実証)は、LINEの国内ユーザー9,000万人という大規模なプラットフォームと、NFTの「唯一無二性」を組み合わせることで、新しいファンコミュニケーションの導線を創出する狙いがある。
実証の第一段階として、2024年秋に開催された体験型イベント「トーキョーディスカバリーシティ!2024 不思議な扉と100の謎」と連携し、NFTの試験配布が行われた。このイベントは施設全域を回遊しながらQRコードを探す謎解き形式であり、NFTの受け取り導線と高い親和性を持っていた。会期中に発行枚数や受領率、LINE友だち追加数などを測定・分析し、その結果を今回の新サービス設計に反映させた。
「TOKYO DOME MEMORIAL NFT 365」は、「週替わりアート」と「毎日の思い出」を融合させた365日規模の取り組みとして段階的に展開していく。NFTはLINEミニアプリを通じてワンタップで受け取れるため、NFTに不慣れなユーザーでも直感的に利用できる。
本施策を支えるのは、キリフダ株式会社が開発したNFT配布ツール「キリフダ」である。同サービスは、LINEを通じてNFTの受け取りや保有確認が完結できるユーザー体験を提供し、イベント参加証明やデジタルチケットなどさまざまな用途への応用が可能とされている。
今後、両社はPoCで得られたデータとフィードバックをもとに、通年施策としてのNFT配布および販売基盤の構築を検討する。これにより、東京ドームでの来場体験をデジタル上に記録・保存する新たな価値を創出し、CRM(顧客関係管理)の高度化を推進する考えだ。