定年や早期退職を見据えた40代から50代の会社員の間で、セカンドキャリアに向けた「リスキリング(学び直し)」の動きが活発化している。株式会社日本デザインが実施した意識調査によると、この世代が新たに身につけたいスキルの第1位は「IT・プログラミング」、第2位は「Webデザインや動画編集などのクリエイティブ系」であることが明らかとなった。

調査は、同社が運営するゼロイチWEBデザインスクール「デザスク」によって行われ、対象は退職後のセカンドキャリアに関心を持つ106名のミドル世代の会社員。彼らの多くが、社会的評価が年齢に左右されにくいスキルに魅力を感じており、「IT・プログラミング」を選んだ理由として「年齢に関係なく評価される」が最多の55.7%、「自分の適性を活かせる」が39.2%と続いた。

社会的背景には「2025年問題」の存在がある。団塊世代が75歳を迎え、医療や介護などの社会保障費の増加が予測される中、64.1%が同問題について何らかの認知を示しており、生活面での影響として「医療費や介護費の自己負担増」(69.8%)や「年金受給額の減少」(58.5%)などへの不安が強まっている。

こうした不安から、定年後も働き続けることを前提としたキャリア構築を意識する声が増えている。働き方としては「正社員として出社勤務を希望」が29.2%、「在宅勤務を希望」が27.4%となり、パートタイムやフリーランスも一定の関心を集めている。新たなスキルを習得するための学習意欲も高く、52.0%が専門スクールに「通いたい」と回答。特にITやクリエイティブ系への関心は、時間や場所にとらわれず柔軟に働ける可能性や将来的な需要の高さが背景にある。

一方で、スキル習得に対する不安の声も多い。「年齢的に新しいことを覚えるのが不安」(50.6%)や「学習時間の確保」(27.8%)、「収入の不安定さ」(25.3%)などが主な懸念点として挙げられた。

また、習得後のキャリアスタートにおいても「就業・案件獲得の支援」(40.6%)や「初めての仕事における実務サポート」(37.7%)を求める声が多く、単にスキルを身につけるだけではなく、実践的なフォロー体制の整備も求められている。

今回の調査は、学び直しを通じて専門性を身につけたいとするミドル世代の姿勢が鮮明になった結果となった。今後の社会的課題に備え、自律的なキャリア設計を目指す彼らにとって、実務支援や精神的サポートを含む包括的な支援体制の構築が、第二の人生の成功を左右する鍵となるだろう。