2月2日(金)から、2月29日(木)までの期間限定で、純文学作品の作品名を隠し、その代わりに作品からインスピレーションを受けた“本音”をタイトルとして販売する秘密の本屋「本音屋」がオープン。ジュンク堂書店 池袋本店およびハイブリッド型総合書店「honto」にて販売中。

「本音屋」とは

大きな声では言えない、でも、ついつい心をよぎる“本音”。「本音屋」とは、自らが抱えている“本音”をテーマに、純文学作品を作品名や著者ではなく、作品からインスピレーションを受けた“本音”を紹介することで読書の魅力を体験してもらう新しい取り組み。純文学の魅力である「人間の隠れた内面」に着目し、あえて作品名を隠し、「本音」を記載。作品名ではなく、心に留まった“本音”と自分の感情を照らし合わせて本を選ぶことで、現代人が失いつつある、一つの物事に対してモヤモヤと考え、自分自身と向き合うきっかけを創出。純文学との新しい出会い方をつくりだしていくことを目指している。

販売概要
期間:2024年2月2日(金)~2024年2月29日(木)
場所:ジュンク堂書店池袋本店 3F特設コーナー
ハイブリッド型総合書店honto
※※2月5日(月)は、サイトメンテナンスのためご利用いたくことができません。予めご了承ください。

インターネットの発達、スマートフォン(以下:スマホ)の普及、各種SNSの浸透などにより、余暇の選択肢が増えたことによって、“書店数の減少”や“読書時間の減少”など、「読書離れ」が進行していると言われて久しい昨今。改めて、もう一度読書を楽しんでいただき、そして読書の魅力を感じてもらうきっかけをつくるため、本との新しい出会いの場所となる取り組みとして「本音屋」をオープン。

「本音屋」で取り扱う書籍は、文藝春秋が出版する純文学作品の中から選出した20作品。真っ黒なパッケージに包み、パッケージには純文学作品からインスピレーションを受けた“本音”を作品名の代わりに記載しているという。純文学は登場人物や作者自身の内面や心象風景が赤裸々に記されており、読者によってその受け取り方は様々に変化するという特徴を持っている。そのため、純文学作品には多くの“本音”が隠されており、その中には「大声では言えないけれど、ずっと心の中にあるモヤモヤしたこと」も多数存在。また、純文学作品には現代人が抱えている他人には言えないけれどずっと心に留めている思いや、自分って本当はこういう人間かもしれない・・・というような“本音”も内包されている。

しかし、それぞれの作品において、物語が持っている“本音”がどんなものかは、一度作品を読んでみないとわからないもの。「本音屋」では、取り扱う純文学20作品を“作品名”ではなく、作品からインスピレーションを受けた“本音”でラベリングし、皆さんの心に留まったものを選び、読み進めていただくことで、作品を通して、“本音”と向き合う時間を提供する。

読書を取り巻く市場環境

1か月の読書量、およそ2人に1人は「1冊も読まない」

国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センターが発表した子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究報告書では、20代から60代の計5000名に調査を実施し、全体のおよそ半数の49.8%が1か月に読む本(紙媒体)の量を「0冊」と回答している。

若者世代に限らず、半数近くが「1か月の読書量がゼロ」

年代別に読書量を見ても、1か月に読む本(紙媒体)の量が「0冊」と回答した割合は、一番割合の少なかった60代でも44.1%と半数近くにまでのぼっており、“読書をしない”という傾向は、若者世代だけでなく多くの年代にまたがっていると言える。

動画にゲーム、SNSなど選択肢の増加が“読書離れ” を加速

現代人が読書をしない理由のひとつとして、インターネットやSNSの発達が、人々の余暇時間の使い方を変えているということが挙げられます。世界20都市における家での余暇時間の過ごし方の調査における、東京での調査結果では、1位が「動画視聴」、2位が「SNS・ネット」、となっておりインターネットやスマホを介したコンテンツ消費が上位を占めています。読書については、「スマホゲーム・ゲーム機」に次いで6位となっており、インターネットの発達、スマホの普及、各種SNSの浸透による、手軽に余暇を楽しむ選択肢の増加により読書を選択する理由の希薄化が“読書離れ”と言わしめる理由となっていると考えられる。

すぐにつながれるスマホに依存・支配される現代人

SNSや、動画やゲームなどのコンテンツに常に接続することができる、現代人の生活において切り離せない存在となったスマホ。セゾン自動車火災保険株式会社の年代別のスマホ依存の実態調査では、全体の6割以上が「気が付くとスマホに没頭してしまい、時間を忘れていることがある」と回答しています。現代人は無意識のうちに、スマホを触ってしまい、動画やゲームなどのコンテンツと、また、SNS上の誰かと繋がり続けていると言える。

スマホを中心とした生活において、失われつつある、誰ともつながらずに過ごす“ひとり”の時間。常に何かと繋がり続ける世の中において、ひとりで一つの物事に対してじっくり向き合い、モヤモヤする時間を確保するのは難しいことです。「本音屋」はそんなスマホ中心の生活で、ひとりで過ごす時間を失ってしまった現代人が、その時間を確保し、自分自身と向き合うためのアプローチになると考えている。

現代人が“自分自身”と向き合う時間を確保すべき理由

現代人のスマホを中心とした生活において失われつつある、モヤモヤとひとりで考え事をする時間。その時間を確保するためアプローチとして展開する今回の「本音屋」の取り組みとコンセプトについて、哲学者の谷川嘉浩さんからのコメントを紹介。

■スマホやタブレットなどのデバイスに囲まれた 「常時接続の世界」が奪ったモヤモヤの時間
スマホの登場は、やり取りの「リアルタイム化」と、複数タスクを並行処理する「マルチタスク化」を促しました。複数の刺激とラグのないやりとりに囲まれた私たちは、すぐに理解し、すぐに判断し、すぐに全体像を見るようにと追い立てられています。つまり、“モヤモヤする時間”を確保することができなくなっているところがあります。いつでもどこでも、ここではないどこかの情報やコミュニケーションにアクセスできる状況は、「常時接続の世界」と呼ばれます。

■「常時接続の世界」で失われた「ひとつのことに集中する時間」と「自分自身と対話する時間」
常時接続の世界で、私たちの注意は細切れになり、分散します。その結果、じっくりとひとつのことに向き合い集中する機会、従って自分自身と過ごす機会が確保しづらくなります。スマホによる常時接続は、会話での共感レベルを下げ、話題がスマホに左右され、理解に時間のかかる感情や感覚を把握する力を衰えさせてしまいます。細切れで大袈裟な刺激やコミュニケーションで、自分の退屈や不安を覆い隠しがちな現代人にとって、自分自身と過ごし、自分と対話する時間をどうやって確保するかということは大きな課題だと思います。

■「本音屋」で得られるのは、“モヤモヤする時間のきっかけ”と“本音を気軽にぶつけられるスパーリングパートナー”
読書は、そういう孤独な「自己対話」のきっかけになるでしょう。誰かの物語を通して、一言では表せない感情や考えを追体験する時間は、「自分だったらどうなんだろう」と、自分のことを思ってもみない角度から眺めてみるきっかけになるはずです。「本音屋」が掲げる“本音”も、一概に言えない秘密のようなものですね。すばやい消費やレスポンスが日夜求められる現代社会では、コミュニケーションの「円滑さ」が優先されるので、自分の中にある複雑で口に出しづらい“本音”とじっくり向き合うことは避けられがちです。「本音屋」での『作品名ではなく、心に留まった“本音”で本を選ぶ』という体験は、常時接続の世界の中で避けがちな、自分の中に存在する大声では言えない “本音”と向き合い、“モヤモヤする時間”を確保するきっかけになり得ます。“本音”は自分の秘密のようなものなので、たった一人で抱え込むのはしんどい。でも、相手に引かれるかもしれないから“本音”は簡単に話せない。そういうとき、自分の“本音”に振り回されたくなくて、“本音”を「なかったこと」にしたり、あるいは逆に、自分で咀嚼する前にSNSに“本音”をシェアして他人に感情を預けたりしています。そうやってすばやく“本音”を処理することで、「円滑な」コミュニケーションを生き、日々を乗り切ることができるからです。“本音”の扱いになれていない現代人が、いきなり自分の本音に向き合うと疲れてしまうので、まずは他人の秘密に触れるのがいいと思います。そういうとき、純文学が役に立つのは、誰にも言えないネガティヴな感情、破天荒な過去、消えない後悔などを、登場人物たちが明かしてくれるからです。他人の“本音”を通して、私たちは、自分自身の“本音”を咀嚼する時間を持つことができます。「本音屋」での読書は、他者の複雑な“本音”を鏡にして、自分の心の本音をぶつけ、その解像度を上げていくスパーリングパートナーを得る機会になると言えるのではないでしょうか。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000043732.html