東京藝術大学学生の卒業制作に廃棄予定のコンタクトレンズ23,040枚が提供され、芸術作品として生まれ変わった。

コンタクトレンズの製造販売を行う株式会社シードに、東京藝術大学学生の西山氏から「卒業制作にコンタクトレンズを用いたオブジェを制作したい」と問い合わせがあったことから始まったこの活動。卒業制作作品「まなざし」は、幅3mを超える壮大なスケールとなり、麻紐で形作られた器の中で、コンタクトレンズで作られたオブジェが個々に重なったり、揺らいだり、瞬間で異なる姿を見せる美しい芸術作品となった。

【卒業制作作品概要】
タイトル:「まなざし」
テーマ:人間関係や様々な境界(自己と他者の物理的・心理的距離、身体、アイデンティティなど)の揺らぎに着目し表現する

概要:2020年以降のこと。 COVID-19の流行に伴う分断と団結や、パーソナルスペースへの関心の高まり。かつての祖父と老いていく祖父の変化。アイデンティティを模索する私。非日常が日常になり、パーソナルなところからパブリックなところにまで「境界」とその「揺らぎ」が存在していることを、より意識させられるようになった。視点によって見えたり見えなかったりするものがある中で、ありとあらゆる対象に目を向けて存在を認識し思考する、という当たり前のことを大切にしたい。ある日コンタクトレンズを目から外したとき、「身体と外界の境界に限りなく近いところに存在しているモノなのではないか」と思った。コンタクトレンズは「境界」の象徴となる素材だ。それらで構成された個々のオブジェは、麻紐で複雑に形作られた社会という器の中で、常に異なる姿を見せる。境界が重なったり、揺らいだり、一瞬たりとも同じ瞬間はない。境界に、境界が揺らぐ瞬間に、まなざしを向ける。

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作品制作者:東京藝術大学学生 西山京花氏

この度は、作品の1/3スケールモデルをシード様の鴻巣研究所にて展示いただき、また今後の芸術活動の奨励を目的とした支援金をいただきまして、誠にありがとうございます。この作品は、日常生活に潜む物理的境界・心理的境界をテーマとして制作いたしました。コンタクトレンズはその境界を象徴する素材です。そして、使用期限が切れた廃棄品のコンタクトレンズをアート作品に生まれ変わらせるにあたり、シード様がSDGsの取り組みに力を入れられていることがご依頼の決め手となりました。この作品は膨大な量のコンタクトレンズがなければ完成し得ないものでした。シード様のご協力あっての作品です。作品制作にお力添えいただいたこと、そして作品を展示する機会をいただけたことに、改めて心より感謝申し上げます。

株式会社シード 取締役常務執行役員 生産技術本部長 福田猛氏

コンタクトレンズの製造枚数では日本一の規模を誇る当社鴻巣研究所は、効率的なエネルギー活用、排水再利用による水使用量の削減、プラスチックのリサイクルなど、環境に配慮した技術と設備を備え、地球保全にも積極的に取り組んでおります。しかしながら、それでも製造や販売を行う中でどうしても廃棄となってしまうコンタクトレンズがございます。今回、西山様にお声がけいただき、廃棄予定のコンタクレンズが、このような芸術という形で生まれ変わったことは、コンタクトレンズの製造に関わる私としても大変喜ばしく、また驚くべきことでした。作品「まなざし」の中で、コンタクトレンズを身体と外の「境界」を象徴する素材としていただき、コンタクトレンズに関する全く異なる目線に大変感銘を受けました。

このように廃棄予定のコンタクトレンズが芸術作品へ生まれ変わることは、廃棄物の削減にも繋がり、SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」の達成にも通じる活動であることから、株式会社シードは今後も積極的にこのような活動に協力するという。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000038735.html