近年企業戦略やマーケティングにおいて、ビッグデータと呼ばれる複雑で膨大なデータを活用する傾向が強まっています。総務省が活用を推進していることもあり、データ分析のニーズはますます高まると推測されるでしょう。

しかし、データ分析を行なうには、目的を明確にしなければ適切な手法やツールが選べません。今回はデータ分析において、目的を達成するためにどの手法やツールを選べば良いのか解説します。手法・ツールの性質を把握し、シーンによって適切なデータ分析を行なえるようになりましょう。

データ分析をする際は「目的の明確化」が重要


データは目的に合わせて適切に分析できなければ、有用性を発揮できません。適した手法やツールを選ぶには、まずデータ分析の目的を明確にする必要があるでしょう。
ここではデータ分析するうえで、留意すべき点を3つ紹介します。

1.1スピーディーな意思決定につなげる

データ分析を実施する目的は「より良い決定を迅速に下すため」です。ビジネスは決断の連続であり、持続的に最善の決断を下すことが大きな成功へとつながります。

IT技術の進化により、データの処理速度や蓄積量は格段に上がりました。あとは、いかに集めたデータを必要な情報や数値として取捨選択し、分類・整理・成形できるかが企業の将来を左右するといえるでしょう。

よりスピーディーに判断するには、ツールを活用し効率的に分析することも重要です。

1.2データ分析自体が目的になってはいけない

データ分析はあくまでも手段であり、データ分析によって得られた結果をビジネスにつなげることが目的です。

「なんとなくトレンドだから」「データ分析すれば成功しそうだから」といった気持ちで始めると、データ分析をしただけで目的を達成した気になり失敗してしまうでしょう。データ分析した結果をマーケティングや企業戦略にどう活かしていくのか、しっかりと考えることが重要です。

1.2「なぜデータ分析をするのか」を明確にする

データ分析をするにあたっては、出てきた結果をどのような目的で使用するのかが明確でなければ適切な手法やツールを選べません。

現状を正しく把握し、問題点や目指す目的を明らかにしましょう。その際、「売上10%アップ」など判断基準を決めておくと分析結果から答えを導きやすくなります。

データ分析の種類を5つ紹介

データ分析では、データの性質や用途により分析手法の選択が必要です。実際にどのような手法を使えば良いのか、さまざまなデータ分析手法のうち多く使用される5つを紹介します。

2.1クロス集計分析

初心者にも扱いやすい、最も基本的な手法です。Excelのピボットテーブルでも可能なため、馴染みのある方も多いでしょう。アンケート集計などに使われることが多く、結果を複数の属性に分類し傾向や相関関係を分析します。

例えば、「1日のテレビ視聴時間は?」とアンケートをとったとしましょう。このアンケート結果を性別や年齢、地域といった属性別に分類することで、複数軸から同時にデータを収集でき大まかなトレンドを発見することが可能です。

2.2アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、多くのデータから意味のありそうな関係を抽出する手法です。これにより、関連性のないように思えるデータ同士にも、隠れた関係性・類似性があることを見つけられます。

このように、購買データから人々の行動における関連性を見つける際によく使われます。

2.3ロジスティック回帰分析

発生確率を予測する分析手法です。質問に対して「はい」か「いいえ」でデータを収集し、その結果を0から1の数値で表します。

「りんごと一緒に購入されているものは何か?」といった同時購入されているものを分析するのではなく、「りんごを買ったか、買わなかったか」という2択から結果を導き出すのがロジスティック回帰分析です。

病気の発生率や商品購入率の予測ができるため、医療やマーケティングの分野で活用されています。

2.4因子分析

ビジネスのみならず、研究分野でも活用されているデータ分析手法です。複数のデータに潜む共通因子を探り出します。マーケティングではアンケートの調査結果を分析し、回答者の「潜在意識」などを見出すことも可能です。

2.5クラスター分析

クラスター分析とは、異なる性質を持つデータのなかから似た要素を集めてグループ分けする手法です。このグループを「クラスター」と呼びます。

クラスター分析後の出力形式は大別すると、似た要素をまとめる階層的手法と似た要素が同じクラスターに属するよう全体を分割する非階層的手法の2種類です。

例えばりんご、ぶどう、ももを、クラスター分析を用いて価格、売上に分類すると以下のようになったとします。

価格300円以上:ぶどう、もも
全体の売上5%以上:りんご、もも

このように商品のポジションが明確になることで、各商品に見合ったアプローチが可能です。おもにサービス提供やマーケティングで活用されます。

データ分析のためのツール5選

データ分析の結果を経営に役立てるための技術や手法を、BI(ビジネスインテリジェンス)といいます。経営をするうえでは、精度の高いデータ分析が欠かせないでしょう。

データ分析にBIツールを使うと作業を大幅に簡素化できるので、作業効率の向上やコスト削減につながります。細かい機能はBIツールによって異なるため、目的に合うツールを選ぶことが重要です。

3.1Salesforce Datorama

マーケティングに特化したBIツールで、BtoC、BtoBのマーケティングが可能です。

AIを搭載した機能により、あらゆるデータソースから必要なデータを瞬時に統合しダッシュボードに可視化します。自動でデータの可視化から言語による分析まで行なうため、一目で理解しやすい点が魅力です。

3.2Power BI

Microsoftが提供しているBIツールで、無料版と有料版があります。さまざまなデータソースと連携できることが特徴です。

Excelを操作するような感覚で簡単にデータ分析し、PowerPointのようにレポートを作成できます。Microsoft社内ではメールソフトよりも使用頻度が高いといわれており、操作感の良さがうかがえるでしょう。

3.3Tableau

簡単な操作であらゆるデータを可視化できるBIツールです。モバイル版もあり、商談などで顧客先を訪問している際にも簡単にデータの確認ができます。

Tableauでデータ活用を行うBIエンジニアに、データ分析の面白さを聞いたインタビューはこちら。

キャリア35年超!経験と技術を最大限に活かして働くBIエンジニア

ドラッグ&ドロップで簡単にグラフ化でき、さまざまなデータをワンクリックで共有できる点が魅力です。

3.4Google データポータル

Google LLCが提供している無料のBIツールです。操作が簡単でGoogleアナリティクス、Google広告、Googleサーチコンソールなどのデータを集約できます。

テンプレートを使用してレポートとしてまとめて、作成した表やグラフを複数人で共有したりすることも可能です。

3.5Domo

500以上のデータソースと接続できるBIツールです。あらゆるデータのプラットフォームとして活用できます。

数十億行のデータを取り扱うことができるうえ、クラス最高レベルの多層化セキュリティを誇る安全性の高さが特徴です。

カードと呼ばれるグラフを作成すれば、モバイルへ最適化されます。リアルタイムでデータが自動更新されるため、多角的な分析に役立つでしょう。

目的とゴールを明確にして使い分けよう

データ分析をするおもな目的は、より良い決定を下すことです。分析にはBIツールを使うことでよりスピーディーに、説得力のある分析結果を得られます。
しかし、データの分析手法やBIツールはさまざまな種類があり、機能や特徴もそれぞれ異なります。データ分析の目的とゴールを明確にしたうえで、適したものを選ぶようにしてください。

弊社で働くBIエンジニアに、データ分析の面白さを聞いたインタビューはこちら。

キャリア35年超!経験と技術を最大限に活かして働くBIエンジニア